オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が訪問先のパナマ市で非公式に会談した。

 両国は、1959年のキューバ革命で親米政権が崩壊し、61年に米国が国交断絶を通告して以降、半世紀以上にわたって敵対関係にあった。両首脳の「歴史的な握手」を歓迎したい。

 キューバはこれまで、北米と中南米の35カ国首脳が一堂に会する米州首脳会議に招待されなかった。米政権が反対してきたからだ。今回、米国が初めてキューバの参加を認め、キューバ側もこれを受け入れたことで、会議の合間の非公式会談が実現した。昨年12月に国交正常化交渉の開始を発表して以来、両首脳が対面するのは初めてである。 

 カリブ海にある島国キューバは、米国にとって「のど元に突きつけられたあいくち」のような存在だった。旧ソ連がキューバにミサイルを搬入したことで表面化した62年のキューバ危機は、核戦争の一歩手前まで進み、世界を震撼(しんかん)させた。

 米国はその後、経済制裁やテロ支援国家指定などによってキューバを排除し、孤立化させる政策を取り続けた。

 反体制派へのテコ入れやカストロ政権の転覆工作など主権侵害に等しい内政への干渉は、キューバの反発を招いただけでなく、中南米諸国と米国の亀裂を深めた。

 気がつけば米国のほうが、この地域で孤立していたのである。オバマ政権はここにきて、政策の失敗を認め、関与政策に舵(かじ)を切った。この歴史のうねりを後戻りさせてはならない。

    ■    ■

 キューバ経済は、米国の経済制裁と冷戦崩壊によって輸出入が激減し、危機的な状態に陥った。米国と対峙(たいじ)しながら、観光産業や農業改革などによって危機の拡大を食い止め、医療・福祉・教育の面で成果を上げたことが、キューバの人々の自信につながっている。

 とはいえ経済再建は急務だ。キューバにとって国交正常化の大きなメリットは、経済の活性化が期待できる、という点である。

 キューバは、経済制裁解除と同時に、投資増につながるテロ支援国家の指定解除も求めている。

 米議会は、キューバとの関係改善に消極的な共和党が上下両院で過半数を占める。議会で反対に遭えば制裁解除は足踏みする。米側はキューバの人権状況を危惧し民主化を強く求めているが、キューバ側は内政不干渉を要求する。相互尊重の原則を確認することが重要だ。

    ■    ■

 キューバのグアンタナモには今も米軍基地があり、テロ容疑者の収容所が設置されている。キューバにこのような施設があること自体、実に異様な光景だ。

 19世紀末、キューバを支配していたスペインとの戦争に勝利した米国はキューバと条約を結び、グアンタナモ湾の無期限借用を認めさせた。米国は今も帝国主義時代の遺物を抱えているのである。キューバの返還要求は当然だ。まず収容所を閉鎖し人権重視の手本を示すことである。