文字を追うごとに胸が締め付けられた。先日足を運んだ企画展「私たちは『買われた』」。貧困や暴力などさまざまな原因で「売春」に追い込まれた少女らがつづった体験や思いの数々

▼家族や親族など身近な存在からの性暴力、虐待、いじめ、貧困…。少女たちを取り巻く環境の複雑さは社会が抱える問題も浮き彫りにする。「買われる」側に追い詰められていった経緯や現状をまざまざと突きつけられた

▼思わず目を背けたくなるような痛ましい体験も衝撃だが、強く感じたのは、追い込まれる過程でもっと早く気づいてあげられなかったかという悔しさだ。少女たちの証言からは、本当に必要な大人の存在はみえない

▼企画展は少女たちを支援する実行委員会が、世間が抱く「売春=気軽に、遊ぶ金欲しさ」などのイメージに一石を投じたいと企画。そこに至った背景に目を向け、知ることを呼び掛けた

▼「買われる」側に行き着くしかなかった背景は、大人がつくり出したものだ。居場所をなくし、何日も食べず、周囲との関係性を失った少女たちの存在に気づき、目を向けることが大人の責務だろう

▼実行委員長の上野さやかさんは「よその世界の話ではない。身近に問題を抱える人がいるかもしれない」と話す。少女たちが発信してくれた思いに真摯(しんし)に向き合う大人でありたい。(赤嶺由紀子)