2015年度予算が成立し、通常国会の日程は後半に入った。後半国会の焦点は何といっても安全保障法制の整備である。

 安倍政権は昨年7月、憲法解釈を変更し、歴代の内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。その決定に基づき、他国軍を後方支援するための恒久法や改正周辺事態法、改正武力攻撃事態法などの法案を今国会に提出する。

 いずれも戦後日本の安全保障政策の大転換となるものだ。後半国会は、従来の安保論議とは異なり、日本の将来を左右する重要な議論の場となる。政府の説明責任は重大だ。

 安保法制に対する国民的理解は得られていない。共同通信社が3月末に実施した世論調査では、関連法案の今国会成立を図る安倍晋三首相の方針に、ほぼ半数の49・8%が反対と答えている。

 安保法制の整備と合わせて日米両政府は今月27日、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を18年ぶりに改定する。だが、今回の改定は、日米の事務方が全く国会の議論を経ないまま、見直したものだ。

 国内で安全保障法制の整備が本格化するのはこれからである。安保法制の本格的な国会論戦も始まっていないのに、ガイドライン改定が先行するのは、順序が逆である。国会軽視というほかない。

 安保法制の整備とガイドラインの改定によって平和国家の理念は崩れ、憲法9条が一段と無力化することになる。

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 名護市辺野古の新基地建設についても国会で議論が尽くされるべきだ。

 民主的な選挙で示された正当性を持つ民意は「辺野古移設ノー」である。地元の合意なしに米軍基地を建設するのは、民主主義の最低限のルールに反する。

 中谷元・防衛相は、新基地建設反対を訴える翁長雄志知事を「もう少し日本の安全保障を踏まえて考えてほしい」と批判した。戦後一貫して日本の安全保障の負担を全国のどこよりも背負ってきたのはどこなのか。安全保障のコストを沖縄に押し付けてきたのは誰なのか。

 安倍首相や菅義偉官房長官は「日本の安全保障や米軍の抑止力を考えたとき、辺野古が唯一の解決策」だと強調するが、いつまでも沖縄に負担を負わせるのではなく、在日米軍基地全体を戦略的観点から見直すことによって、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現すべきである。

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 元米大統領特別補佐官のモートン・ハルペリン氏は「普天間飛行場の移設問題をめぐる議論は、沖縄に海兵隊が存在することの必要性をめぐる新しい検証抜きで進められている」と指摘する。さらに沖縄以外の東アジア地域、あるいは米国内の基地など他の選択肢を真剣に検討する必要があるとしている。

 国会の場でも、なぜ海兵隊を沖縄に置く必要があるのか、徹底的に検証し、議論してもらいたい。

 政府が言う負担軽減と抑止力を狭い沖縄で同時に達成するのは不可能である。