今年に入り、県内で殺人事件が相次いでいる。2月に本部町で70代の女性が殺され、今月9日には、ひきこもりやニートの若者を支援してきた沖縄市のNPO法人ゆめさきの上江田紫寿江(本名・靜江)さんが、背中を刺され亡くなった

▼2年前、本紙教育面のコラム「たんぽぽのタネ」でお世話になった。原稿のやりとりの際はいつも明るく、そしてとても忙しそうでパワフルだった。紙面で名前を見るたび、お元気そうだと思っていたのに驚いた

▼居場所を失い、自暴自棄になりかねない若者に、約30年、手を差し伸べてきた。コラムの最後の回では「これからも子ども、若者達の支援を頑張りたい」と決意し「大人の皆さん、夢は何ですか」と問い掛けた

▼「怠け者」のレッテルを貼られ、社会の偏見や誤解もまだ多いひきこもり。だが上江田さんらの地道な活動は県内でも実を結んでいる。2月には那覇市で全国規模の交流会も開かれ、理解と支援の輪は少しずつ広がっている

▼まだやりたいこともあったろうに本当に残念だ。葬儀には約2千人が駆け付け、予定を1時間も過ぎたという。遺族や教え子、関係者の悲しみが消えることはない

▼常に前向きだった彼女の姿勢は、たくさんの人に勇気を残したことだろう。関わった多くの若者たちが、遺志をつないでほしい。(儀間多美子)