「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」

 信州大学の山沢清人学長が入学式で新入生に問い掛けた言葉が反響を呼んでいる。

 社会問題化する「スマートフォン依存」に触れ、「スイッチを切って本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます」と続けた。

 スマホが生活の一部となる若者が増える中、「時代錯誤」との反発もあるが、山沢学長が言いたかったのは、大学でいかに創造的な思考を育むかだ。知らない世界の扉を開け、多様な意見に耳を傾け、じっくりと考える習慣を身に付けてほしいという激励と理解したい。

 総務省の昨年の調査では、高校1年生の9割近くがスマホを所有。うち半数が休日に3時間以上使用し、平日でも3割強が3時間以上使うなど、長時間依存の実態が浮き彫りになった。

 大学生となると普及率は9割を大きく超えるという。

 確かに、メールもでき、写真も撮れ、音楽も聴ける便利な道具だ。素早く情報にアクセスできるメリットもある。

 しかし睡眠時間を削り、ゲームや会員制交流サイト(SNS)に没頭する生活は異様に映る。食事の時も、友人と会話をしている最中もスマホを手放せない若者を見ると、スマホを操っているのではなく、スマホに操られているのではという危機感すら感じる。

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 スマホをめぐる問題で目立ってきたのは、低年齢化だ。内閣府の一昨年の調査で小学生の16%、中学生の50%がスマホを所有する。

 生活習慣の乱れや無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使ったいじめなどの対策として、教育現場で広がる、夜間の使用制限の試みが興味深い。

 県内でも浦添市青少年健全育成市民会議などが市内の児童・生徒を対象に「携帯電話(スマホ)は夜10時まで」と呼び掛ける運動を展開。有害サイトの閲覧を制限するフィルタリング機能の利用や勉強中・食事中は使わない、人の悪口は書かないなど家庭でのルール作りを求めている。

 SNSをきっかけに性犯罪に巻き込まれるなど深刻な被害も増えている。

 トラブルが発生した時、すぐに相談できるよう、まずは親子でスマホの使い方について考えることが大事である。    ■    ■

 いくらスマホや携帯の利用が増えても、相手と言葉を交わし、その口調や表情から気持ちを読み取り、人間関係を深めることの大切さを忘れないでほしい。関心のある言葉でしか検索しないネットの世界では、得られる知識が限られる。

 この春、進学や進級でスマホデビューした児童・生徒も多いだろう。

 ネット社会に潜む危険から子を守るのは大人の役割で、情報モラルの教育にもっと力を入れるべきだ。子どもは使い方や時間をコントロールする力を身に付ける必要がある。