那覇労働基準監督署は24日、違法な時間外労働と時間外労働にかかる割増賃金の不払いがあったとして、労働基準法違反の疑いで逮捕したオフィス用品や書籍販売の株式会社「安木屋」社長の安仁屋健作容疑者(42)と店長の男(36)を那覇地検に送致した。法人としての同社も同法違反容疑で地検に書類送致した。2人の逮捕・送検について同署は、2年以上行政指導を繰り返しても改善に応じなかった悪質性に加え、証拠隠滅の恐れがあると判断したと説明した。同署は「重大、悪質事案は司法処分も含め厳正に対処する」として、監督指導の強化を図るとしている。

安木屋社長と那覇一銀通り店店長の逮捕について説明する那覇労働基準監督署の風間勝署長(右)と北村隆和第二方面主任=24日、県庁記者クラブ

労基署、監督強化の方針

 那覇労基署の風間勝署長らが県庁で会見した。安木屋は2015年4月26日から約2年間、労働者に時間外労働させるために必要な労使協定(三六協定)を結ばず、法定の労働時間を超え、非正規を含む従業員を働かせた。1人当たり最大で週16時間、1日8時間30分の時間外労働をさせていた。また、正社員12人に対して15年4月26日から2年間、時間外労働させた場合に必要な割増賃金、計583万3898円の不払いがあった。1人当たりの最高額は約90万円だった。

 容疑の発覚は15年2月、那覇労基署の監督官が任意調査の「定期監督」で同社を訪れた際に、三六協定の未届けや残業代の不払いなどを確認。その後、少なくとも5回の是正勧告をしたが、安仁屋容疑者と店長はこれに応じず、面会もできなかったという。

 逮捕・送検を判断した詳細については「捜査中」として答えなかったが、「署の求めに応じず、強制でなければ調査できない状況があった。(社長と店長による)共謀、罪証(証拠)隠滅の恐れがある」と説明。従業員への圧力やかん口令などにも配慮したとみられる。

 送検を受けて安木屋の安仁屋博一会長は「この件に関しては真摯(しんし)に受け止めます」とコメントした。

 沖縄労働局によると、那覇労基署管内で労働関係法令違反により逮捕、身柄を送検された事例は初で、県内では記録が確認できる1989年以来初めてだという。今回の違反が確定した場合、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金に処される。

 【ことば】三六協定 労働基準法36条に規定される時間外労働、休日労働に関する労使間の協定。1日に8時間または週40時間を超える労働をする場合、労使間で時間や条件について書面で協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。