翁長雄志知事と安倍晋三首相がきょう官邸で会談する。翁長知事就任から4カ月余り。両者の会談が初めて実現する。

 名護市辺野古への新基地建設をめぐる対立から、安倍政権は翁長知事を「冷遇」し、知事との会談にこれまで応じようとしなかった。

 融和姿勢に転じたのは、今月28日に控える日米首脳会談を意識してのことだろう。沖縄との対立を懸念する米側に対し、対話はできている、とのメッセージを示す狙いなのは明らかだ。

 しかし、安倍政権の姿勢自体は何ら変わっていない。首脳会談で発表予定の日米共同声明には、辺野古移設を再確認する文言を盛り込む方向で両政府による調整が進んでいる。

 翁長知事は、上京を前に「辺野古の建設はできません、ということをしっかり伝えたい」と記者団に述べた。先に実現した菅義偉官房長官との会談と同様、不退転の決意をじかに伝えてほしい。

 そして安倍首相は、知事の考え方を直接受けた以上は、その場限りで流すことは許されない。日米首脳会談の場へ確実に届けてもらいたい。

 沖縄の頭越しに両政府が新基地建設を再確認し、外圧を利用して沖縄に受け入れを迫るようなやり方を考えているなら間違いだ。

 「普天間飛行場の危険性除去が最重要」「辺野古が唯一の選択肢」。政府は事あるごとに、こうしたフレーズを繰り返してきたが、事態は変化していると指摘しておきたい。

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 第一に、埋め立て工事を進める中で設計変更が必要になった場合、知事の承認が必要になる。変更を申請しても翁長知事が不承認とすれば工事は継続できない。

 15日に開かれた衆院国土交通委員会でも、国交省の水管理・国土保全局長は「変更承認が得られなければ、変更に関わる工事はできなくなる」との認識を示した。

 飛行場建設のような大規模な埋め立ての際、工事の過程で変更が必要になる事態がたびたび起きる。実際に、岩国飛行場(山口県)の滑走路の沖合移設工事では、12年にわたる工期の間に8回もの変更申請が出された。その都度、山口県知事が承認を繰り返した経緯がある。

 今後、変更申請のたびに翁長知事が不承認にすれば工事はいずれ頓挫する。

 衆院国交委でこの件を取り上げた下地幹郎氏(維新)も指摘するように、100%確約できない新基地建設を米国と約束すべきではない。

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 第二に、米国の考え方も変わっている。

 米の知日派・アーミテージ元国務副長官は、時事通信のインタビューで、辺野古新基地計画に関し「日本政府が別のアイデアを持ってくれば、私たちは間違いなく耳を傾ける」と柔軟な姿勢を示した。

 ジョセフ・ナイ元国防次官補も、中国の弾道ミサイルの発達で在沖米軍基地の脆弱(ぜいじゃく)性が高まっていると指摘する。

 沖縄の「地理的優位性」は揺らいでいる。その認識を安倍首相も持ち、知事と対話すべきだ。