翁長雄志知事と安倍晋三首相は17日、首相官邸で会談した。日米首脳会談を今月末に控え初めて実現した両者の会談である。翁長氏は、名護市辺野古の新基地建設に反対する沖縄の声をオバマ大統領に伝えるよう首相に要請した。首相はこれに応え、沖縄の民意をオバマ氏に正確に伝えなければならない。

 知事就任以来4カ月余り。ようやく訪れた安倍首相との直接対話の機会だった。翁長氏は、「絶対に辺野古に新基地は造らせない」と明言。1国の首相に対し、これほど毅然(きぜん)と「基地ノー」の意思を主張した知事はいただろうか。沖縄にとってきわめて意義深い、画期的な会談となった。

 翁長氏は、政府が前知事の埋め立て承認を唯一のよりどころとして移設作業を強行していることに「県外移設の公約をかなぐり捨てた承認」だと正当性に疑問を呈した。

 また「辺野古基地ができない場合本当に普天間は固定化されるのか」。5年以内の運用停止は「埋め立て承認というハードルを越えるための空手形ではないか」と政府を追及した。

 沖縄の米軍基地について「戦後、銃剣とブルドーザーで強制接収された」と、歴史的経緯や不平等性を訴え、「土地を奪っておきながら、老朽化したとか、世界一危険だからとか、嫌なら代替案を出せというのは、こんな理不尽なことはない」と強く反発した。戦後一貫して日米安保の過重な負担を押し付けられたウチナーンチュの思いを、明快な言葉で表現した。

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 安倍首相が「辺野古への移転が唯一の解決策である」と従来の考えを繰り返したことについても翁長氏は異論を展開。「安倍首相は、固定観念に縛られず、まずは辺野古への移設作業を中止することを決断してほしい」と求めた。

 強力な政治のリーダーシップがあれば政策の変更は可能である。選択肢のない政策などあり得ない。これこそ翁長氏が5日の菅義偉官房長官との会談でも指摘した「政治の堕落」である。

 政府が、1999年に当時の稲嶺恵一知事と岸本建男名護市長の受け入れ表明を受け、閣議決定がなされたと移設の正当性を主張していることについても翁長氏は反論した。

 稲嶺知事は代替施設の軍民共用や15年使用期限、岸本市長も基地使用協定締結などを前提条件としていたが、その後、政府は県との協議もないまま閣議決定をほごにした。翁長氏は「前提条件がないことになり、受け入れたというのは間違いだ」と、政府の都合のいい解釈を断じた。

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 政府は、日米首脳会談で確実に沖縄の声を米側に伝えるべきだ。もし伝えずに両政府が首脳会談で辺野古推進を確認するようなことがあれば、「沖縄切り捨て」と見ざるを得ない。沖縄の声を無視して移設を強行することがあれば逆に日米関係にさまざまなマイナスが生じるだろう。

 翁長氏は菅氏や首相との会談で沖縄の声を代弁し、求心力をこれまで以上に高めている。辺野古移設問題は新たな段階に入ったといえる。