民進党代表選は9月1日の投開票日まで1週間を切っているというのに、一向に盛り上がらない。

 上昇気流に乗っていれば政権交代への期待が膨らみ、投票権を持たない一般の有権者も代表選に高い関心を示すが、そのような空気が感じられないのである。

 石にかじりついても困難をはねのけ政権批判の受け皿になる、という気迫が党の中から伝わってこないのは問題だ。求心力よりも遠心力が働いているせいだろう。

 都議選前後、泥船から逃げ出すように離党が相次いだ。「解党」の言葉が飛び交うような後ろ向きの代表選では、有権者の期待が高まるはずもない。

 立候補している前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官は、何よりも安倍政権との違いを明確に示す必要がある。

 確かに、政策論争が過熱して路線対立が鮮明になれば、この際とばかり離党ドミノが起きるおそれがある。かといって、党内融和のため政策の違いをあいまいにすれば、自民党との対抗軸を示すことができない。寄り合い所帯で理念や政策のすりあわせを怠ってきたつけは大きい。

 民進党そのものが根の深いジレンマを抱えているのは確かだが、政策をあいまいにし、守りの代表選に終始すれば、支持率の低迷から抜け出すことは不可能である。

 自民党との対抗軸を明確に打ち出すこと、党内のバラバラ感を払拭(ふっしょく)し有権者に安心感を与えること-これしか道はない。

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 代表選のあと、すぐに10月10日告示の衆院3補選(青森4区、新潟5区、愛媛3区)が控えている。そこでつまずけばダメージは大きい。次期衆院選にも連動するからだ。

 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は、両候補の陣営に野党共闘の維持を求める要望書を提出した。

 野党共闘をご破算にして果たして3補選に勝利することができるのか、疑問である。

 安倍晋三首相が打ち出した憲法9条加憲論への対応も、分裂含みの重要なテーマだ。党の結束を維持しつつ、9条加憲論に「ノー」の姿勢を貫く-その論理を構築することができるかどうかが鍵になるだろう。

 名護市辺野古への新基地建設について民進党県連は「白紙に戻すべき」だとの考えを両候補に伝えた。

 民主党政権時代、この問題でつまずいた経緯があるだけに両候補とも慎重な言い回しに終始しつつ、しかし、白紙撤回には否定的だ。

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 ニュアンスの違いと言えば、前原氏が「進めてきたプロセスを(今後も)しっかり進める」と現状肯定的なのに対し、枝野氏は「強引なやり方はやめさせなければならない」と安倍政権の手法を批判していることだ。

 この違いを「言い回しの微妙な違い」だと単純に片付けてはならない。

 沖縄の地方自治は、日米安保と地位協定によって大きな制約を受けている。辺野古に代替施設ができてもその状態は基本的に改善されない。