◆沖縄そば29杯を完食する物語です。

 前回(1~3杯4~6杯7~10杯)からの続きです。

 那覇市のまちぐゎー案内所・ゆっくるが発行する「ゆっくる新聞」と沖縄そば店のコラボ企画「沖縄そばスタンプラリー」に筆者が挑戦し、沖縄そばじょーぐーを目指します!

 前回までにそばじょーぐーは先着10人限定と知った筆者。焦ります・・・。

◆休日を使って、朝イチで、ハシゴして・・・巻き返しを狙います

 10杯目到達から4日後の8月20日。日曜日でバイトは休み。いつもなら働いている時間を有効活用して、そばを食べに行こうと思い立つ。

 「食べに行こう」ではなく、本来ならば「食べなくては」が正しい姿勢ではないか。「これがどういうことか分かっている?」と、この日の自分にビンタしたい衝動を抑えている(これを書いている8月26日現在たまき雑感)。

 10杯を超えてようやく私に責任感という名の感情が生まれる、その辺りがマイペースだよな…と自分自身にあきれるところだ。

【11杯目】優しさに包まれ、カイワレに驚き・・・「沖縄食彩あじまあ」

 11杯目に選んだのは、ランチタイムには980円で沖縄料理が堪能できるという「沖縄食彩あじまぁ」。過去に夕ご飯を食べに来たことがあり、沖縄の家庭料理のやさしさに癒やされた記憶があった。

沖縄の野菜を使ったランチバイキングが人気です

 沖縄そばを食べに来たのだが、季節の島野菜を使ったランチバイキングもやっぱり気になる。お品書きを眺めていると、中から優しそうなおばちゃんが「どうぞ」と声をかけてくれる。

 そうだ、私はスルルー南蛮漬けやパパイアイリチーに心を奪われている場合じゃなかった! 招き入れられた店内、どーんと現れたバイキング料理たちを横目に蚊の鳴くような声で「沖縄そばのスタンプラリー、やっていますか?」と質問を投げかける。おばちゃんはほほ笑みながら、「おそばは500円ね、好きな席どうぞ」と勧めてくれる。そのやさしさにすでに心が震える。

 そばを待つ間に、あと19杯という高い山頂までの険しい道のりに思いをはせたり、バイキングに見とれたり。ふと気付けば、家族連れの観光客に混ざって、女性の「おひとりさま」が多いことにほっとする。なんだか旅行に来た宿のレストランのような雰囲気だ。「また帰りたい場所、あの味とあなたの笑顔~」。そんな安めのキャッチコピーが勝手に浮かぶ。

 ひとり脳内劇場を繰り広げ、おばちゃんに「どうぞ」と運ばれてきたそばと見つめ合う。短期間で10杯も食べると、第一印象で私とこのそばの相性がわかる気になる。目と目が合った瞬間から分かった、「タイプ。運命に違いない♡」と。

カステラかまぼこ、カイワレと沖縄そばには珍しい具材が乗る「沖縄食彩あじまあ」

 透明な出汁に浮かぶは、幼いころに「これはカステラかまぼこって言うんだよ」とばあちゃんが教えてくれたかまぼこだ。お盆のごちそうで、子どもたちが赤い耳のついている色白のあの子ではなく、「絶対にこっち!」と取り合うクリーム色のかまぼこだ。そして寄り添う三枚肉の輝き。紅ショウガとともに彩りを添えるのは、なんとカイワレ!

 11杯目にして初見参のカイワレさんとそばのハーモニーに期待を込めて、ひと口目をすする。起きて間もない私には、あっさりとした出汁もカステラかまぼこの甘みも、肉のうま味もすべてが優しい。カイワレが味を引き締め、さっぱりと胃にもたれない上品さに導く。「これなら、いける!何杯でも!」と思う。

おばちゃんの優しさや働きぶりに、ときめきます。

 常連客と店のおばちゃんが、のど自慢のテレビを見ながら会話している様子もほほ笑ましい。そばを食べ終えても、まだやさしさに満たされていたくて、帰れずにいる私。「いやいやいや、何してるんだ自分」と気を取り直し、スタンプをもらうべく、ゆっくる新聞を広げる。そこで、気づいた。

 「そうだ私、10杯目のシールもらってない!」。

 そばの優しさや居心地の良さに後ろ髪引かれつつ、レジでお金を払う。ホールを切り盛りするおばちゃんに、写真をお願いする。「お化粧大丈夫かしら?」と言いながらも、きりりとした気品漂う表情で収まる姿にまたときめいた。まちぐゎーは個性的だったりかわいらしかったり、みな人間味あふれる店主さんが多い。

 そんな余韻に浸りながらお店を後にして、シールをもらいにゆっくるへ。担当の上原さんに「がんばってますねー」と声をかけられかけた瞬間、事務所に響き渡った別のスタッフさんの声に耳を疑う。

10杯目で貰える沖縄そばシール

 「29杯完食、4人目まで出ましたよ!」と…。ねえ、今なんて言ったの? 血の気が引くのがよくわかった。あじまぁのカイワレさん率いる優しさの鼓笛隊たちが、音もなく私の心から去っていくのがわかった。

〈筆者・たまきのそばデータ〉
・店名:沖縄食彩あじまあ(那覇市松尾2-8-34、電話098-863-4831)
・メニュー:沖縄そば500円(量は寝起き空腹の私が、この後ランチも食べられるサイズ。味も量も気分的にはあと2杯いけた、ぐらい好みのタイプ♡)
・雰囲気:観光客よりも地元、年配女性のおひとりさまが多め。お店のおばちゃんの親しみやすい人柄もあり、入りやすい。広々として4人掛けテーブル席ばかりなので、隣のお客さんとの距離感を気にせず、ひとりでのびのびと食べられる。