文部科学省は、小学6年と中学3年の全員を対象に、今年4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。

 科目は国語と算数・数学。それぞれ基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力をみるB問題に分かれている。

 県内の小学校は、全4科目とも全国平均を上回る場合も下回る場合も差は1~2ポイント内で、ほぼ全国平均並みだ。

 中学校は全4科目とも全国平均を5~7ポイント下回ったが、数学A・Bでは全国平均との差を過去最少にまで縮めた。小学校は基礎学力が身に付き、中学校は底上げが進んだとみることができるだろう。

 「ゆとり教育」などの批判を背景に学テが始まったのが2007年度。沖縄は小中学校とも平均正答率が全国最下位だった。

 県教委は学力先進県の秋田県との教員交流を始め、学力向上推進室を設置。各校を回って授業改善を助言するなどした結果、効果が表れた。

 本年度の学テで注目されたのは中3だ。

 小6が14年度に学テで最下位を脱した。算数Aでは全国上位に名乗りを上げ、全科目で躍進。これを成し遂げたのが現在の中3だったからだ。

 結果は伸び悩んだ。

 理由は何だろうか。

 県教委は中学校は小学校と違い「教科担任制で学校ぐるみの対策が取りにくい」ことなどを理由に挙げる。

 「過去問対策」を繰り返した学力は本物だったのか、中学校ではなぜ伸ばすことができなかったのか、県教委は検証する必要がある。

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 親の経済力と子どもの学力が比例することはよく知られている。

 中学校では、特に貧困の問題が反映されると指摘する識者もいる。

 高校進学率が全国一低く、県が実施した「子ども調査」では中2の進学希望で「大学まで」を選んだ困窮世帯は非困窮世帯より約13ポイント下回った。

 学テと同時に実施された児童生徒アンケートでも、県内の中学生で「学習塾に通っていない」生徒は47・2%で、全国平均と比べ8・7ポイント高い。貧困との関係がうかがえそうな数字だ。

 県も子どもの貧困対策に本腰を入れているが、まだ始まったばかりである。

 貧困問題は教育だけにとどまらない。福祉や収入を左右する親の労働形態とも関連する。県は総合的な貧困対策を強めなければならない。

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 学テの目的は、結果を「学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善に役立てる」ことだ。10年目に入ったが、競争、序列化の側面が強まっている。

 日本の教員の多忙ぶりは国際的にも突出している。1週間当たりの労働が60時間以上の教員の割合が建設業などほかの職種に比べて高い。学テ対策が拍車をかけ、児童生徒と向き合う時間を奪っているのが実情だ。

 知識の活用力に問題がある傾向は変わらない。学テにかける膨大な予算を教員増や少人数学級、子どもの貧困対策に回すべきだ。