全国同様、沖縄県内でも増えている空き家だが、県外に比較して活用はいまひとつ進んでいない。相続手続きとは別に大きな壁となっているのが位牌(いはい)の存在。空き家に仏壇や位牌を置いたままにしていて、家そのものの売却や賃貸に抵抗のある所有者は多いようだ。一方で永代供養や一時預かりといったサービスを活用するなどして、空き家を生かす方法もある。(学芸部・榮門琴音)

お焚き上げの依頼を受け、収められた位牌。東恩納さんは「大切なのは先祖への気持ちを忘れないことではないでしょうか」と語った=中城村・中城メモリアルパーク(画像の一部を加工しています)

 「位牌を見てぎょっとした」。本島北部で昨年開かれた空き家活用の勉強会。古民家に泊まるモニターツアーの県外客からこうした感想が寄せられた。

 空き家と位牌について多くの事例に関わったことから勉強会に参加した県メモリアル整備協会(中城村)の東恩納寛寿さんは「位牌がそのままあるのは、借り手としては抵抗がある」と空き家活用の難しさを実感した。

 同時に「位牌を持っている家主にも重圧がある」と所有者側の事情にも理解を示す。位牌のため遠方の空き家に毎月2回通い続けている事例や、住んでいないのに家賃や土地代を払い続けているケースもあった。

 本家で仏壇そのものに価値があったり、家の長男が都市部の賃貸住宅住まいで仏壇のスペースが取れなかったりするなど「特に過疎地域では、位牌が原因で空き家が放置されたままとなる傾向が強い」と説明する。

 一方、団塊世代が位牌を継承するようになり、供養の考え方で徐々に変化も出てきた。空き家に安置された位牌の預かりや「お焚(た)き上げ」を依頼するケースも増えてきた。預かりは年間3万2400円(1台)、「お焚き上げ」は2万1600円(1霊位)と金銭的負担はあるが、年間数十件の依頼、問い合わせがあるという。

 沖縄の法事に詳しい普天満山神宮寺(宜野湾市)の僧侶、金城良啓さんも「地元を離れている人が多く、位牌の預かりやお焚き上げが増えている」と話す。特に旧盆前は相談が多く、8月は位牌を預けたり引き取ったりするケースが十数件あった。同寺は一時預かりが年間3万円(1霊位)、お焚き上げは2万円から受けている。

 わたなべ税理士事務所(名護市)代表の渡辺茂樹さんは、「人に貸して行事の時だけは使わせてもらうという賃貸契約も可能だ」と提案する。「年間の数日のために空き家を放置するより、位牌にアクセスできる環境にして貸す方がいい」と語る。東恩納さんも「位牌の問題がクリアできれば空き家を活用する選択肢は増えるはず」と期待する。