米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止をめぐって、運用停止の状態を「飛行機が飛ばないことだ」と説明していた中谷元・防衛相が、24日の衆院安全保障委員会で、その発言を撤回した。「幻想を与えることは言うべきでない」とも語っている。

 「飛行機が飛ばない」以外の運用停止があるのか、理解に苦しむ答弁である。発言から透けて見えるのは、仲井真弘多前知事と安倍晋三首相との間で交わされた5年以内運用停止が「不可能だ」という本音である。

 2013年12月、安倍首相ら全閣僚が出席して開かれた沖縄政策協議会で、仲井真氏が要請したのが普天間飛行場の5年以内運用停止だ。

 直後に、仲井真氏は選挙公約を翻して、普天間の名護市辺野古への移設を認め、埋め立て申請を承認した。

 当時、仲井真氏は「総理が実現に頑張ると言った」と語り、安倍首相も「できることはすべて行う」と応じていた。

 当初から政府内には「乾いた雑巾を絞るようなもの」と困難視する声が強く、米側も「空想のような見通し」と否定的だったにもかかわらずだ。今月開かれた中谷防衛相とカーター米国防長官との会談で、日本側は話題にすらしていない。

 仲井真氏には埋め立て承認を得るために見通しもない「幻想」を抱かせ、翁長雄志知事には手のひらを返し「幻想を与えるな」という二重の不誠実である。

 語るに落ちるとは、このことだ。

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 できないことをできると言い、事実を隠したり、ごまかしたり、といったやり方はこれまでも繰り返されてきた。

 1999年12月、普天間の移設先を辺野古沿岸域とする閣議決定がなされた際、当時の稲嶺恵一知事が受け入れの条件とした「15年使用期限」を、政府は「米政府との話し合いの中で取り上げる」と書き込んだ。

 しかし実際は、「代替施設に期限は付けられない」とする米側と協議らしい協議もないままであった。

 移設を優先したこの閣議決定は破綻し、政府によって破棄されることになる。

 県民が激しく反対したオスプレイの配備でも、意図的な情報隠しが行われた。米側からは早い段階で伝えられていたのに、政府が配備を明らかにしたのは環境影響評価の最終段階である。まさにだまし討ちの手法だ。

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 一昨年、日米両政府は普天間の返還を「22年度またはその後」とする統合計画を発表した。辺野古移設を条件とした上で、早くても7年を要する計画そのものが基地の固定化であり、一日も早く危険性を除去するには、辺野古以外の解決策を探るべきである。

 最近、実施された複数の全国紙の世論調査で、移設を強行する政府への批判が強まるなど沖縄への共感が広がっている。反対をアピールする辺野古基金には、2週間で9千万円近くが寄せられ、運動の広がりも見える。

 辺野古への移設を強引に進めるのは無理である。