どこか寂しげなまなざしが印象的な人だった。英国のダイアナ元皇太子妃が事故死して20年がたった

▼美しい、悲劇のプリンセス。その程度しかなかった認識が変わったのはエイズ患者を訪問した時の映像や写真を目にしてからだ

▼ダイアナさんはごく自然にエイズ患者と握手し談笑していた。接触しただけで感染するのではと恐れられていた時代。誤った情報で患者を差別しようとする風潮を自らの行動で一蹴してみせた

▼アンゴラの地雷原を防護マスクを着けて歩く姿も印象深い。その映像が世界中に配信されたことで地雷問題は関心を集めるようになった。短期間に日本を含む100以上の国が対人地雷全面禁止条約に調印。ダイアナさんは「陰の功労者」と呼ばれた

▼エイズ患者の訪問に王子を伴った際「将来の国王にもしものことがあったらどうするのか」と非難された。対人地雷禁止運動では政治問題への介入だと批判された。苦しむ人々に背中を押され社会活動に突き進むダイアナさんは形式を重んじる王室から疎んじられた

▼人気者ゆえ一挙手一投足がパパラッチに狙われへきえきしていたはずだが、知名度を逆手に取り日の目を見ない社会問題に光を当てようと活動を続けた。今も色あせない功績と人気。逆風に負けず、勇気と信念を持って行動する姿勢にならいたい。(高崎園子)