「男なら働くのは当たり前」「男が稼いで家族を養う」。こうした従来型の社会通念を見直し、性別にとらわれない多様な生き方や働き方を考える講演会「男が働かない、いいじゃないか!意識改革は男性が抱える問題がポイント!?」が8月29日、県庁で開かれた。講演した大正大准教授の田中俊之さんは「性別で生き方をとらわれないで」と呼び掛けた。

講演に聴き入る参加者ら=県庁

講演する大正大准教授の田中俊之さん=県庁

講演に聴き入る参加者ら=県庁 講演する大正大准教授の田中俊之さん=県庁

 おきなわ女性財団の2017年度第1回男女共同参画講座で、約100人が聴講した。

 田中さんは男性が抱える悩みや葛藤を研究する「男性学」の視点から、男性というだけで長期間フルタイムで働かなければならないといった従来型の社会通念に疑問を呈した。

 田中さんは「1日8時間勤務が『最低限』でそれ以上が『普通』になっている」と指摘。「働き方改革は、『長時間労働は当たり前』という意識に切り込めるかにかかっている」と説いた。

 男女の賃金格差がある中、「父は働くことを期待され、働き過ぎを誰も止められない」という。田中さんは男性の自殺死亡率が長期間にわたって女性の2倍になっていると指摘。働き過ぎや過労死など日本人の働き方の問題が30年以上も解決されておらず、「特に中高年の男性が働き過ぎることを問題と思っていない」と警鐘を鳴らした。

 過去の講演会で参加者に夫の長所を尋ねたところ、「馬車馬のように働く」と答えた人がいたという。田中さんは「男は仕事、女は家庭」という意識が社会にあるとして、「生き方は多様であっていい」と提唱した。

 友人や趣味がなく、弱音を吐けない中高年の男性は多いという。田中さんは「仕事帰りに喫茶店に寄って30分読書するなど、定期的にわが身を振り返る時間をつくってほしい」と提案。「仕事ばかりで私服のない男性も多い。服を買ってどこかに出かけてみる。一歩踏み出すことはとても重要」と語った。