トートーメー(位牌)や拝み言葉の基礎知識、御願(ウグヮン)のお供え物などをイラストや写真で分かりやすく解説する「年中行事ハウツー本」が売れている。那覇市内の書店では例年、旧盆の1週間ほど前から需要が高まる。中には初版から10年で10万部を売り上げた本もある。専門家は「沖縄独特のしきたりに悩む人が多いことの表れ」と分析している。(社会部・川野百合子)

書店に並ぶ沖縄の年中行事に関する県産本=3日、那覇市・リブロリウボウブックセンター店

 ◆全国なら1000万部級

 「ウートートーとは」「旧暦の行事とお供え物、手順やお祈りの言葉」「重箱には何をどう入れるか」「ヒラウコーはどう数えるのか」-。「年中行事ハウツー本」は約10種類。多くが、このような内容で構成されている。

 県内書店は旧盆前の入荷を通常の2~3倍に増やす。ジュンク堂書店那覇店の森本浩平店長は「ほぼ沖縄だけで10万部を売り上げた本もある。全国に置き換えれば1000万部売り上げるぐらいのすごさだ」。

 リブロリウボウブックセンター店の筒井陽一店長は「重箱の中身を現代風にアレンジしたり、残った具材を使う料理本も合わせて人気」と話す。

 ◆しきたり分かりやすく

 人気本の一つ「よくわかる御願ハンドブック」を発行したボーダーインク編集部の喜納えりかさんは、難しいしきたりをかみ砕いて説明したことがヒットの要因とみている。

 御願をしたことのない若い女性をターゲットに想定していたが、反響は50~80代の男女にも及んだ。「親世代はやっていたがよく分からなかった」「男でもやっていいのか」という質問や感想が多く寄せられたという。地元出版社の強みを生かし、餅屋や仏具店などにも置き、販路を広げた。

 ハウツー本を購入したうるま市の宮里ゆり子さん(34)は「何度やっても細かいところは忘れてしまう。地域や家庭によってもやり方はさまざま。一般的なところを押さえたくて」と話す。

 ◆先祖を敬う心が大事

 トートーメー問題に詳しい沖縄女性史家の宮城晴美さん(67)は、ハウツー本が売れている背景について「沖縄独特のトートーメーなどに悩んでいる人が多いのだと思う。入門書から伝統料理や行事を学ぶこと、男の人が台所に関心を持つことは非常にいいと思う」と話す。

 ただ、経済的・精神的な負担にならないようにとアドバイス。「縛られる必要はなく、考え方の“地図”として利用してほしい。できる範囲で無理をせず真心を持って先祖を敬うことが何よりの孝行だ」と話した。