障がい者が働きながら技術や知識を身に付ける「就労継続支援A型事業所」の廃業が全国で相次ぎ、雇用不安が広がっている。

 県内でも、沖縄労働局が2016年度に受理した「障害者解雇届け出数」が88人となり、15年度の3倍を超えた。そのほとんどがA型事業所による解雇である。

 就労継続支援は障害者総合支援法に基づき、一般企業で働くのが難しい障がい者へ就労機会を提供するサービスだ。雇用契約を結び最低賃金以上を支払い、軽作業などの職業訓練を実施するのがA型で、雇用契約を結ばないB型とは区別される。

 今、問題となっているのはA型事業所。

 7月に岡山県倉敷市と香川県高松市で同一グループが運営する7事業所が閉鎖され約280人が解雇された。8月には名古屋市と関東地方で6事業所を展開する企業が障がい者を大量解雇した。県内でも4月からの5カ月間で、6件の廃業届けが出ている。

 福祉と就労の橋渡しを行うA型事業所は国から障害福祉サービスの給付金のほか、雇用関係の助成金などが受け取れる。運営者に支払われる給付金は障がい者1人当たり1日5千円ほどで、この支給要件を4月から厳しくしたことが廃業の背景とされる。

 問題のある業者への指導強化は当然だとしても、障がい者から働く場と生計維持のための賃金を奪うようなことがあってはならない。

 障がい故に不利益を被らないよう再就職支援に力を入れるべきだ。

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 A型事業所は10年度の約700カ所から16年度は約3600カ所と急増している。

 目立つのは民間の事業者。国からの補助金で運営できるため、収益を確保できなくても参入できる構造なのだという。

 もちろん就労支援に熱心に取り組み、収益を上げている事業所も多い。しかし一部に、テレビを見せるだけだったり、働く時間を短くして賃金を抑えたりする悪質な事業所の存在が指摘されている。

 そもそも補助金は、管理者や指導員らの給与、運営資金などに充てられるものである。4月の支給要件の厳格化は、給付金から利用者の賃金を支払うことを禁じ、事業の健全化を図ろうというものだった。

 福祉を食い物にさせないためにも、国や自治体は運営実態の把握に積極的に乗り出す必要がある。 

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 県内のA型事業所は今年7月現在112カ所で、人口比で全国4番目に多い。

 ところが県が4月に実施した調査では、約7割の事業所が給付金を利用者の賃金に充てていると回答している。事業収入だけで最賃を保障し、運営することの難しさが浮かび上がる。

 障がいのある人が地域で自立した生活を送るための基盤として就労支援は重要だ。

 事業者の指定権者である県と那覇市には、経営難の理由がどこにあるのかをしっかり見極めた上で、A型事業所が抱える制度上の問題にも目を向けてもらいたい。