妊娠や出産、育児などに関する職場での嫌がらせ「マタニティーハラスメント(マタハラ)」を巡り、今年1月から事業主に防止措置が義務付けられた。沖縄労働局によると、1月からの半年間で労働者からのマタハラ関連相談は24件あり、うち15件が妊娠を理由に解雇や雇い止めをほのめかされた。24件のうち16件が非正規雇用者で、マタハラに対する職場での認識の低さが、雇用の不安定さに拍車を掛けているとみられる。(政経部・又吉嘉例)

上司・同僚からのマタニティーハラスメント

 嫌がらせの事例では、上司に妊娠を報告したら「妊婦はいつ休むか分からない。ほかの人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われたというものや、先輩に「就職したばかりのくせに妊娠して休もうなんてずうずうしい」と繰り返し言われた事例。妊娠で立ち仕事を免除してもらったら「あなたばかりずるい」と同僚に指摘されたものもあった。

 同局によると、切迫流産やつわりで入院し、復職後に解雇や雇い止めを示唆されたケースもある。

 事業主からのマタハラ関連相談も9件あり、大半が「妊娠を理由に解雇(または雇い止め)したいが、法令違反ではないか」という確認が主だった。

 男女雇用機会均等法と育児・介護休業法は、妊娠や出産、育休、介護休業などを理由とする解雇や契約の非更新、減給などの「不利益取り扱い」を禁じている。1月の両改正法の施行により、事業主の義務として、マタハラについて労働者への周知や相談窓口の設置、発生時の迅速・適切な対応などが加わった。

 同局雇用環境・均等室の松野市子室長は「妊婦の業務負担が減り、他の人にしわ寄せが行くとなれば、ハラスメントの遠因となる」と警鐘を鳴らす。「人手不足の今、諸制度やマタハラについて労働者に周知して必要な業務体制を整えることは、人材確保という意味でも大切だ」と強調する。

 また、「事業主にも労働者にも『非正規だから産休・育休は取れない』との認識不足がある。労働者もどんな制度が利用できるかを知り、周囲とコミュニケーションを取りながら、体調に応じた適切な業務をこなしてほしい」と要望した。