再び核軍縮の機運を高める機会としなければならない。

 5年に1度の核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が、ニューヨークの国連本部で開かれている。核保有国と非核保有国が対立を超え、今月22日の最終日までに最終文書の採択ができるかが焦点である。

 世界の核兵器の大半を保有する米国とロシアの対立など核をめぐる情勢が悪化している中での開催だ。地球上には約1万6千発の核弾頭があるとされる。人類の存亡にも関わる核軍縮の停滞は許されない。「核兵器なき世界」への道筋をどう付けるか、世界の英知が問われている。

 核軍縮の停滞を打開する道はあるのだろうか。注目したいのは、非核保有国を中心に国際法で核を禁止しようという動きが広がっていることだ。

 再検討会議では、非核保有国の代表から核兵器の非人道性を訴える演説が相次いだ。将来の核兵器禁止条約制定を目指す狙いがある。

 核の非人道性の議論は、2010年の会議で「核使用がもたらす壊滅的な人道上の結果への深い懸念」が表明されたことを受けて、非核保有国に広がったものだ。

 背景には、核軍縮を進めない核保有国に対する非核保有国の不満が高まっていることがある。だが、核保有国は「非現実的」として核兵器の禁止には応じない姿勢だ。

 NPTは核保有国に対して核軍縮を「誠実に交渉する」義務を課している。核保有国は、条約の理念に基づき核軍縮への具体的な行動計画を示すべきである。

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 NPTは米国、英国、フランス、ロシア、中国の5カ国に核兵器の保有を認め、その他の国の核保有を禁じている。「持てる国」が核軍縮交渉を加速させなければ「持てない国」との不平等性は拡大するばかりだ。

 10年の会議では、核軍縮の強化策など64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書を採択した。しかし、行動計画のほとんどはいまだに達成されていない。

 核大国の米ロは11年に配備済みの戦略核を3割減らす条約を締結したが、その後の両国間の関係悪化で、目立った成果は出ていない。

 ロシアは昨年3月クリミアを強制編入。ウクライナ政変の際にロシアのプーチン大統領は、核兵器の使用準備を検討していたと発言し、世界を震撼(しんかん)させた。核をめぐる状況は一気に冷戦時代に逆戻りした感さえある。

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 残念なのは、核兵器禁止に対する日本政府の消極的な姿勢だ。今回もオーストリアが、核兵器禁止に賛同するよう呼び掛けた文書をNPT加盟国に配布したが、日本は賛同していない。

 今年は広島、長崎への原爆投下から70年の節目である。広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は1日、再検討会議で演説し、核兵器禁止条約や非核兵器地帯の実現に向けた取り組みを進めるよう求めた。

 被爆者の思いに応えるためにも、日本は核廃絶に向けて先導役を果たす必要がある。