台風の影響で定期船「だいとう」が欠航し、生鮮食品が不足した南北大東島。今年8月、19日ぶりに入港した際には商店にパンや牛乳、野菜を買い求める人が殺到した。台風後も続く高波、太平洋の強い波が打ち付ける島の地形が原因だ。両島では野菜の地産地消を模索し、将来的な港湾建設技術の向上に期待する。(南部報道部・又吉健次)

台風などの影響で、長期間入港できないこともある南北大東の定期船「だいとう」=8月30日、南大東村西港

 南北大東島は食品だけでなく、生活や仕事に必要なガソリンや肥料、建築資材など物資の大半を船で運ぶ。2度の台風襲来で長期欠航した今回に限らず、1986年は約1カ月間、入港できなかった。66年にはガソリンなどが不足し電気がつかないこともあった。

 南北大東島は、海底数千メートルほどから突き出た山の先端にあたり、そのため周辺にはリーフがなく、太平洋の強い波を直接受ける。

 南北大東への入港時、沖合150メートルほどにある係船ブイにロープを結ぶ作業は小型船で行うため、波が高いと危険が伴う。台風通過後、沖縄本島の海上が穏やかでも出港できない理由だ。沖縄本島は遠浅の海岸のため、波の力が軽減されるという。

漁港活用は断念

 沖縄県や両村も課題を放置していた訳ではない。波が直接当たる現在の港とは別に、県は南大東漁港に全長83・6メートルある定期船の入港を検討したこともあった。しかし「出入りには船の3倍の広さが必要。島を大幅に掘り込むと村道や優良農地をつぶす」「防波堤が必要だが、水深が深く1メートル建設に1億円ほど必要」という予算面、技術的課題などから断念した。

 欠航時に店頭から消える生鮮食品を自給する方法もあるが、課題もある。JAおきなわ南大東支店の沖山清英利用課長は「島の農家は面積が大きく本格的に野菜を生産したら村の需要を超える。本島や県外で販売するには、船賃の負担もあり難しい」と指摘する。

 実際、20~30年ほど前、生鮮品の牛乳を製造した「南農場」の平安座唯憲社長(65)は、5年ほどで事業をたたんだ。「地産地消の言葉もない時代で、欠航時には売れたが本島産の商品が入ると売れなくなった。島の人は、島外産をありがたがる傾向があった」と話す。

自給率のアップ

 課題解決へ県は8月から、船便欠航時に食品の航空機輸送分の補助を始めた。「欠航4日以上」「対象食品はパン、牛乳、卵、豆腐」の条件はあるが、南大東村にある与儀商店の与儀喜一郎社長(59)は「村民に航空賃の負担なく生鮮品を提供できる」と歓迎する。

 また、北大東村は15年度から取り組む「食の安心平張施設事業」でビニールハウスを建設。地産地消を促し野菜の島内自給を高める考えだ。1人が働く小規模なものだが、島内での野菜生産の在り方を模索したいという。南大東村も食糧自給に取り組んでいる。

 南大東村のある職員は「台風で流される沖に防波堤を造るのではなく、島の岸壁自体を防波堤にして貨客船が入る港を建設できないか」と夢を描く。テレビの民放電波が届かず、インターネット回線が利用できないという課題を両村は解決してきた。技術向上など「答えはあるはずだ」と職員は話す。