「従業員をよく観察します」。障がい者雇用に力を入れるナガイ産業の砂川惠治代表はそう語る。同社が経営する居酒屋「三代目魚武士」で働く津波古郷さん(25)は自閉症を伴う知的障がいがある。小さな折り紙で鶴を折る姿に感心し、すし作りを任せようと考えた

▼手先が敏感で最初はしゃり(ご飯)を触れなかった。手袋をすることで握れるようになり、持ち前のまじめさと器用さでどんどん上達した。現在は人気メニューのギョーザを担当する店の主戦力だ

▼当初本人も周囲も「皿洗いしかできない」と思い込んでいた。やりづらいところはどこか。どう工夫すればできるのか。「いろいろ試してみることが大事」と砂川さんは説く

▼6、7日付くらし面に掲載された「障がい者雇用 企業の実践」でも障がい者が生き生きと働く姿が紹介されている。作業手順を改善したり、仕事ぶりを評価して任せたりすることで力を発揮している

▼障がい者の法定雇用率が2020年度までに2%から2・3%に引き上げられ企業には今以上の取り組みが求められる

▼障がいはその人の一側面にすぎず得意分野があるはず。「できない」というレッテル貼りをやめ、可能性を見つけて伸ばす。キーワードは「工夫」と「信頼」か。それがある職場はすべての人にとって働きやすいに違いない。(高崎園子)