公立の離島へき地診療所がある沖縄本島北部3村と19離島の65歳以上要介護(要支援)認定者のうち、住み慣れた地元を離れ本島などの介護施設や病院、親族の元で生活せざるを得ない高齢者が、行政が把握しているだけでも9離島で3割を超えることが沖縄タイムスの調査で分かった。最も高いのは阿嘉島(座間味村)で73・1%。要介護1~5向けの介護保険サービス25種類中、3村19離島での提供数は平均7~8種類にとどまり、離島へき地で高齢者を支える体制の課題があらためて浮かんだ。(社会部・新垣綾子)

手をつなぐ(イメージ写真)

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 ◆県内9島で3割超

 人口が少なく医療資源の乏しい北部3村と、14市町村の19離島では計24カ所の公立診療所(県立16、町村立8)が地域医療を守っている。調査は8月、診療所がある市町村担当者らを対象に実施。原則として7月末時点のデータを聞いた。

 3村19離島の要介護高齢者1871人のうち、地元以外の施設などで暮らすのは少なくとも309人。割合は26人のうち19人が島外へ出ていた阿嘉島に次いで、渡名喜島(37人中24人=64・9%)、座間味島(28人中14人=50%)が高い。

 伊江島と津堅島は「データがない」と回答しており、行政が把握しきれない転居者も含めると実態はさらに多い可能性がある。

 要介護3程度になると、介護や医療体制が整った沖縄本島などに移るため、渡名喜島のように島内は全員、要介護2以下で「独り暮らしが可能な元気な高齢者しか残っていない」(村社会福祉協議会)という事例も。与那国島、南北大東島でもそれぞれ4割を超え、南部離島で高い傾向があった。

 ◆サービスに格差

 訪問・通所・施設系、地域密着型など介護保険が適用される25サービスの提供数を聞いたところ、最多の大宜味村でも半分に満たない12種類。最少は北大東島で通所介護、福祉用具貸与、住宅改修費支給の3種類に限られた。

 訪問介護員や利用者の不足などで、北大東島のほか伊平屋島でも訪問サービスを実施しておらず、23種類が提供できる都市部の那覇市と比べると脆弱(ぜいじゃく)ぶりが際立った。久高島は介護サービス事業所がゼロ。13離島は1カ所だけで、社協が担うケースが多かった。

 担当者からはサービスの担い手や利用者の確保が困難な上、新たな事業者の参入がなくサービスの選択肢がないという声が上がった。国や県には「都市部とへき地が一律の基準で高齢者施策を進めることに疑問を感じる」(伊是名島)、「ヘルパー養成講座にかかる受講料や宿泊費などの補助を」(伊江島)、「住民主体参加型サービスが提唱されているが、担い手確保や質の保障など検証してほしい」(大宜味村)といった指摘や要望があった。