前原民進党は船出と同時に2度もつまずき、いきなり窮地に立たされてしまった。

 山尾志桜里元政調会長で内定していた幹事長人事を、両院議員総会の直前になって差し替えたのが第1のつまずき。「若手大抜てき」に党内から不満が噴出し、その最中にスキャンダルが表面化した。

 山尾氏は今週発売の週刊誌で既婚男性との交際問題が報じられたことを受け、混乱を避けたいと離党届を出した。これが第2のつまずきである。

 待機児童問題へ鋭く切り込むなど若手の論客として注目された山尾氏の幹事長起用は低迷する党勢立て直しの切り札でもあった。

 離党を余儀なくされた山尾氏は、記者会見で週刊誌で報じられた内容を否定しつつも、記者からの質問は一切受け付けなかった。説明責任という点からは疑問の残る対応である。

 党のイメージ低下と政治不信は避けられない。新執行部は早くも満身創痍(そうい)の状態だ。

 民進党は代表選前にも離党者が相次ぎ、代表選でも国会議員8人が無効票を投じるなど「離党予備軍」の存在が指摘されている。

 年内解散がささやかれ始める中、10月22日には衆院3補選が控える。補選で3連敗すれば、総選挙はとても戦えないと、離党する議員がなだれを打つのではないか。

 前原誠司新代表は、まずは党内結束を最優先すべきだ。崖っぷちの危機感を共有するかどうかに全てがかかっている。

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 青森4区、新潟5区、愛媛3区の衆院3補選は、支持率が急落する安倍内閣にとっては立て直しの試金石となる。前原新代表にとっては、国政選挙初陣となる正念場の戦いだ。

 補選の結果は、解散時期の判断にも直結する。

 前原氏は次期衆院選の選挙協力を盛り込んだ共産党などとの4党合意について見直すよう執行部に指示している。野党共闘を巡る代表選での主張を実行に移した形だ。

 見直しの理由は基本的な理念や政策の違いなどだが、候補者を一本化せずどうやって自民、公明の連立政権と戦おうとしているのか。対応を誤れば再生どころか分裂を招きかねない。

 自民党に代わる旗を掲げ、政権奪還に向けた将来像を示すことでしか、再起の手掛かりはつかめない。

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 小選挙区制の下で長期政権による弊害をなくしていくには、政権担当能力を備えた野党第1党の存在が欠かせない。政権交代が起こるかもしれないという緊張感が、政党同士の切磋(せっさ)琢磨(たくま)を促し、よりよい政治をつくるのである。

 批判勢力となるべき野党第1党が監視の役割を果たさなければ、民主主義は健全に機能しない。民進党の危機は単なる党内の危機ではなく、議会政治そのものの危機だと受け止めるべきだ。

 「安倍1強」のおごりを招いた責任の一端が、政権批判の受け皿になりきれなかった民進党にあることをあらためて肝に銘じてもらいたい。