一般に島の高齢者は、介護が必要になっても、生まれ育った島にとどまり、島で暮らすことを望む。だが、医療資源の乏しい離島では、必要な介護サービスが十分に受けられない。

 沖縄タイムスが8月、本島北部3村(国頭、東、大宜味)と県内14市町村の19離島を対象に、高齢者介護の実態を調べたところ、さまざまな課題が浮かび上がった。

 65歳以上の要介護(要支援)認定者のうち、住み慣れた地元を離れ、本島などの介護施設や病院、親族の元で生活せざるを得ない高齢者は、9離島で3割を超えた。

 要介護高齢者のうち、地元以外の施設で暮らす人の割合がとりわけ高かったのは、阿嘉島で73・1%。次いで渡名喜島が64・9%、座間味島が50%だった。

 いずれも高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)の高い離島である。

 住み慣れた島で、必要にして十分な介護サービスが受けられるのであれば、わざわざ島外に出て行く必要はない。 しかし、人口規模の小さい離島では、高齢化率が高く要介護者の割合が高くても、民間の介護サービス事業者が参入するのは採算性の面で困難を極める。

 要介護3程度になると住み慣れた島を離れることになるが、要介護高齢者が減ると高齢者を地域で看取(みと)ることを前提にした島内完結型の社会サービスをつくるのは難しい。

 「離島へき地にはそんな悪循環がある」と県立看護大学教授の大湾明美さんは指摘する(9日付本紙24面)。

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 介護サービスには、訪問介護などのような自宅でサービスが受けられる「居宅介護サービス」と、介護老人保健施設などの施設に入所する「施設介護サービス」、その地域に住所を有する人が利用できる「地域密着型サービス」などがある。

 介護保険が適用されるサービスの範囲は25種類もあるが、都市部に比べ離島へき地で提供されているサービスは極めて少ない。例えば那覇市と渡名喜村を比べればその差は歴然としている。

 介護保険法は「可能な限り、居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」とうたっている。

 介護サービスを充実させるためには、ケアプランをつくるケアマネジャーや介護福祉士の存在が欠かせないが、責任や負担の大きさの割に待遇改善が進まず、希望者は減っているという。

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 都市部と離島の地域間格差をどのように埋めていくか、介護保険法の趣旨をどのように生かしていくか。介護サービスを提供する人材をどのように確保していくか。

 沖縄の離島は共通の課題を数多く抱えるが、厳密に言えばそれぞれがその島ならではの独自の性格を帯びており、地域に応じた解決策が求められる。

 全国一律の基準を適用するのではなく、離島県沖縄のその地域にあった仕組みを、その地域の創意工夫でつくり出していく必要がある。