15年前のこと。小学校を取材してある変化に気付いた。授業と授業の間の休み時間、教師が教室にいない。理由を尋ねると以前に比べて書類提出が増えたので、職員室で仕事をしているという

▼小学校の教室には先生の机もある。35年前先生はいつも教室にいた。教師の仕事に憧れていた私は休み時間、テストや宿題を採点する先生を眺めるのが好きだった

▼「先生、あのね」。周りでは複数の児童がおしゃべりに花を咲かせ、先生は忙しそうにしながらも耳を傾けていた。しかし20年後に見た、子どもだけの教室にその光景は無かった

▼小中学校が実施する家庭訪問も変化している。玄関先で済ませたり、児童生徒が暮らす地域の視察にとどめるケースが増えた。その変化を本紙が初めて報じたのは6年前

▼2000年から10年ごろまでのゆとり教育をきっかけに始まり、今や全国で同様という。授業時間の確保、訪れる教師や迎える保護者の負担軽減などが理由に挙がるが、子どもたちはどう思っているのだろう

▼雑談しながら互いを知り関係を築く。子ども、学校、家庭の間でそんな時間が減っている。休み時間のおしゃべりは学級の様子だけでなく、子どもの心身の状況を知る手がかりになる。家庭訪問も然り。その時間は減ったのに、代替策は見当たらないのが気に掛かる。(黒島美奈子)