尖閣諸島の国有化から11日で5年がたった。海上保安庁のまとめでは、2012年9月の国有化以降、尖閣周辺海域での中国公船の航行が常態化。11日現在で領海侵入は199日(延べ643隻)、接続水域での航行は1139日(延べ3961隻)に上る。日本の漁船はトラブル回避のために漁場変更を余儀なくされ、漁への影響が深刻化。尖閣周辺漁場の緊迫は続き、漁業関係者からは「漁獲量は減る一方だ」との悲鳴も聞かれる。

(資料写真)尖閣諸島

尖閣周辺海域における中国公船の航行状況

(資料写真)尖閣諸島 尖閣周辺海域における中国公船の航行状況

 海保は国有化以降、中国公船の接続水域での航行は「荒天などを除き、ほぼ毎日」と分析。15年12月には機関砲を搭載したとみられる公船が領海に侵入した。

 海保は同海域での領海警備体制を強化。石垣海上保安部は職員数を約3・5倍の663人、巡視船艇を約2・6倍の16隻に増やし、12隻が尖閣専従で警備に当たる。19年度には宮古島市に離島で初めてとなる射撃訓練場を整備する方針だ。

 石垣海上保安部の遠山純司部長は「危険な状況に至らないよう、冷静かつ毅然(きぜん)、断固として尖閣を守る」と述べた。

「思うように漁できぬ」

 第11管区海上保安本部によると、尖閣周辺の領海で違法操業し退去警告を受けた中国漁船は国有化前の2011年は8隻だったが、昨年は104隻に増加した。

 台湾の漁船は13年の尖閣周辺の漁業を巡る日台の取り決め(協定)で、日本のEEZ内の一定海域で操業が認められた。尖閣領有権問題で台湾、中国の連携を防ぐ日本側の狙いがあるとされる。

 キハダマグロなどのはえ縄漁を営む八重山漁協(石垣市)によると、双方の漁具が絡まることがあり、事前に漁場変更することが多いという。伊良部幸吉専務(49)は「中国公船と海保の巡視船がにらみ合いを続ける尖閣周辺の海域には近づけず、思うような漁ができなくなった。先行きが不安だ」と漏らした。

 八重山漁協マグロ船主会会長の田中博幸さん(50)も「安心して操業できる状態じゃない。ずっとこの状況が続くのなら、どうしたらいいのか」と漏らした。

知事「平和的解決を」

 翁長雄志知事は11日、「(尖閣諸島が)日本固有の領土であることは絶対に譲れないが、戦争はだめだ。平和的に解決してもらいたい」と訴えた。訪問先の防衛省で記者団に答えた。