イスラム教徒少数民族ロヒンギャに対するミャンマー政府の弾圧が激化している。ノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チー氏の政権下でだ。国連は「民族浄化の様相」と危惧する

▼8月25日にロヒンギャの武装集団と国軍が衝突し、すでに400人以上が死亡した。隣国バングラデシュに難民として逃れた人たちは31万人超。那覇市民と同じ数が2週間で一斉に難民化したと想像すれば、事態の深刻さに気付く

▼軍事政権下でロヒンギャは不法移民とされ、国籍を与えられなかった。民主化後もロヒンギャに差別意識を持ち、国民の9割を占める仏教徒の支持を気にしたスー・チー氏が放置している

▼スー・チー氏の平和賞取り消しを求めるネット上の署名は40万人を超えた。平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんも「胸が張り裂ける思い」と、暴力の停止やロヒンギャへの市民権付与をスー・チー氏に訴える

▼第2次世界大戦中、英国と日本がそれぞれ旧ビルマ内の宗教対立をあおり、イスラム教徒と仏教徒を戦わせた経緯がある。横たわる憎悪に、日本は無関係ではない

▼スー・チー氏は10日、武装集団の「停戦」表明を「テロリストとは交渉しない」と拒絶した。植民地政策であおられた差別と宗教対立、民族浄化策の先に何があるのか、彼女も私たちも知っているはずだ。(磯野直)

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