東日本大震災の後、人間に備わっているという災害心理「正常性バイアス」が話題になった。外界の急激な変化や刺激に直面すると、心身が過剰反応せぬようできるだけ「いつもと同じ状態」を保とうとする心理メカニズム

▼「自分は大丈夫」「まだこの程度なら」と平静を保ち続け、都合の悪い状況への反応が鈍れば悪い結末を呼ぶ。10メートルの津波が来ると聞きつつ家に留まったり、御嶽山の噴火ではギリギリまでスマホで撮影する人もいて被害が広がった

▼緊急時の“いざ”を正確に見極め、機敏に動くのは難しい。だが一方で異常事態が恒常化し慣れてしまうと、重大な危機に対する備えや心構えが薄れ、こちらも危うい

▼沖縄に接近した台風6号は、一時は中心気圧が915ヘクトパスカルまで強まった。台風とは年中行事のように付き合ってきたが、特に近年は900台前半と猛烈な気圧を持つものが増えたと感じる

▼昨年は895ヘクトパスカルという巨大台風がフィリピンを襲った。常識外れのスーパー台風の発生は、地球が発する危険信号だろう。自然を破壊し、温暖化が進んでもまだ大丈夫と言い続けるうちに、取り返しがつかなくなる

▼沖縄では、経験豊富な人々の十分な警戒心と強固な建造物の増加で、以前のような台風被害はなくなった。それでも慢心は禁物。心して切り抜けたい。(儀間多美子)