糸満市の元助産師、平安香由美(かゆみ)さん(60)の作文が、日本看護協会などが主催する「忘れられない看護エピソード」看護職部門の最優秀賞に選ばれた。平安さんは助産師歴37年で、ことし3月まで県立南部医療センター・こども医療センターに勤務していた。定年退職を機に後輩たちへ「個々の家族の気持ちに応じた看護をしてほしい」との思いを込めた文章が、審査員の心を打った。

第5回忘れられない看護エピソードの表彰式に出席した平安香由美さん=東京都渋谷区の日本看護協会ビルJNAホール

 同賞は看護職と一般の2部門で、それぞれの立場から看護の現場で体験したエピソードをつづる。5回目の今回は両部門に、全国から過去最多の3536作品の応募があった。

 平安さんの作文は、胎児水腫で、死産したわが子の亡きがらを抱いていとおしむ夫婦との出会いを書いた。タイトルは「エンゼルのわが子へ」。

 平安さんは「胎児水腫は皮膚が膨れあがるなど、外見のダメージが大きく、赤ちゃんと対面しない親も多い。だが、この夫婦は違った。悲しみを乗り越え、赤ちゃんに感謝する姿に感動した」と振り返る。

 10日に東京都内で開かれた表彰式で、特別審査員の脚本家、内館牧子さんは「壮絶な状況を受け入れる夫婦の赤ちゃんへの愛情に対して、作者自身が感謝の念を持つ心理がよく書けていた」と講評した。「小さなころから文章を書くのが好きだった」という平安さん。本紙くらし面のエッセー欄「くさぐさ」にも26年間にわたり投稿を続けている。平安さんの作品は日本看護協会のホームページ(HP)で読むことができる。