在日米軍の権限などを定めた日米地位協定について、県は17年ぶりに見直し案を作成し、日米両政府に提出した。

 昨年12月に名護市安部沿岸で起きたオスプレイ墜落事故を踏まえ、基地外での事件事故への日本の捜査権行使などを盛り込んでいる。

 1995年の大田県政、2000年の稲嶺県政でまとめた内容を引き継ぎながら、新たな問題への対処を打ち出した案だ。

 民間地における事件事故に対し、日本側の捜査権行使を明記したのは、04年の沖縄国際大学へのヘリ墜落の時も、安部沿岸へのオスプレイ墜落の時も、地位協定が壁となり捜査に大きな支障が出たためだ。

 2日前に米軍が公表したオスプレイ墜落事故報告書に県民が不信感を募らせているのも、日本側が事故機を差し押さえるなど原因究明に関与できず、米軍に都合よく書かれているのでは、との疑念が消えないからである。

 見直し要請では、緊急時に、地元自治体が事前通知なしに即座に基地に立ち入ることも求めている。

 13年のキャンプ・ハンセンでのヘリ墜落事故では、県の土壌調査がなかなか認められず、現場近くの大川ダムは1年余りも取水停止を余儀なくされた。

 どれも県民の命と安全に関わる重大な問題だ。地位協定が県民生活や地方自治の大きな制約要因になっているのは明らかであり、抜本的見直しが求められる。

 負担を強いられている住民の立場を地位協定に反映させなければならない。

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 見直し案は住民の声をすくい上げる仕組みとして、日米合同委員会で住民に影響を及ぼす問題を協議する際は、自治体の意見を聞き、意向を尊重するよう要請している。

 合同委の中に自治体の代表者が参加する地域特別委員会の設置も明記した。

 日米特別行動委員会(SACO)最終報告で伊江島補助飛行場への移転が決まったパラシュート降下訓練を、米軍が4、5月に嘉手納基地で実施した際、合同委での「例外使用」を盾に訓練を正当化した。

 嘉手納基地の旧海軍駐機場を再び使用した時も「合同委で合意している」と主張し、約束を破ったのである。

 地位協定や関連取り決めの特徴の一つは、条文の中にいくつも「抜け穴」が用意されていることだ。

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 国会の監視の目が届かない密室の合同委で決定し、決まったことに従えというのは、あまりに理不尽ではないか。合同委の透明性確保と国会による統制、環境事案への原則国内法適用が必要である。

 米軍の行動を最大限保障する地位協定の存在は、米軍基地が集中する沖縄にとって大きな重荷になっているが、一地域だけの問題ではない。日本の主権に関わる日本全体の問題でもある。

 県も見直しに向けて、県議会での党派を超えた決議、軍転協での要請、県民の総意に基づき全国知事会で議論するなど、機運を高める働き掛けを強めてもらいたい。