生活に困っている人に寄り添い、働いて自立できるよう手助けする「生活困窮者自立支援法」が先月施行された。最後のセーフティーネットと呼ばれる生活保護の手前の第2のセーフティーネットである。

 新制度は生活困窮者からの相談に応じる「自立相談支援事業」の実施と、失業などにより住まいを失った人向けの「住居確保給付金」の支給を自治体に義務付けている。

 期待が大きいのは、自立相談支援事業により全国約900の自治体に設置されるワンストップ型の相談窓口だ。専門の支援員が一人一人に合わせたプランを作り、ハローワークや病院など他の機関にもつなぎながら自立を促していく。

 働く人に占める非正規の割合が4割近くに増えるなど、雇用環境が悪化する中、生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は2012年時点で16・1%に上っている。

 失業によって、苦しい生活に陥るというのは、特別なことではない。そのきっかけはリストラや病気、親の介護など誰にでも起こり得るものだからだ。

 新制度では、社会との関わりに不安がある人を対象にした「就労準備支援事業」や、貧困の連鎖を断ち切るための「子どもの学習支援」などのメニューも用意。しかしこれらは地域の実情に応じた任意事業で、メニューの充実は欠かせない。特に県内では、ひとり親世帯が多く、若者の失業率が高いなど全国とは違う事情も考慮しながら、第2のセーフティーネットに息を吹き込みたい。

    ■    ■

 新年度から市町村に生活困窮者の相談窓口が設置されるなど事業が動きだしている。

 うるま市では昨年7月、先行する形で「就職・生活支援パーソナル・サポート・センター」を開所。生活再建の手助けを始めた。

 生活相談支援員など5人の支援員が、3月までに受け付けた相談は291件。就労に関するものが最も多く、次いで住まいや家族、借金、税金に関する相談が目立ったという。必要に応じハローワークまで付き添い一緒に仕事を探すなど「伴走型」の支援が特徴で、これまで16人が就職した。

 生活困窮者が抱える問題は仕事だけにとどまらない。時に健康や家族のことなどが複雑に絡み合っている。

 鍵となるのは、個別的かつ継続的な支援だ。

    ■    ■

 不正受給対策を強化した改正生活保護法とセットで成立した困窮者自立支援法には、自立を促すことで受給を抑えたいとの狙いもある。

 生活保護の対象となる世帯のうち実際に保護を受けている世帯の割合を示す「捕捉率」の低さが、生活保護の課題であることを思い起こそう。就労を後押しするあまり、必要な保護を諦める空気が生まれないよう注意を払いたい。

 本当に困っている人ほど悩みを打ち明けられず、相談先も分からないといったケースが多い。役所内の連携と地域の協力で支援に結びつける、一歩も二歩も踏み込んだ対応が求められる。