やる気次第で寿命は延びる。そんな調査結果を示しつつ住民の意欲を引き出す「健康長寿村プロジェクト」を、沖縄県今帰仁村が進めている。各行政区が会議を開いて目標やメニューを決定。村は講師料負担、アドバイス役など側面支援をしている。(北部報道部・阿部岳)

「体幹修正法」でほぐれた肩を確認する講習会参加者=7日、今帰仁村保健センター

 村は2007年から9年間、高齢者千人に2度のアンケートをしたり、安否や要介護度の追跡調査をしたりした。県内では例のない規模、期間だという。

 8月に発表した結果によると、「病気は自ら予防できる」と思う人の死亡リスクは、そう思わない人の44%と半分以下にとどまった。「介助があれば隣近所に外出ができる」と思う人の死亡リスクも「できない」と思う人の45%だった。

 やる気が生活と健康の改善につながるという「証拠」が出て、プロジェクトに弾みがついた。「これから実践を積み重ねて、いつか健康長寿のモデル村になりたい」と、村保健センターの長田光吉センター長は語る。

◆区で取り組む

 14〜16年度の3年間は村内全19区が「健康長寿作戦会議」を開き、課題や改善のアイデアを出し合ってきた。村の仲尾佳子保健師は「区ごとの健康教室はこれまでもあったが、役場頼みで定着しなかった。今回は区が何をしたいか、どういう区になりたいかを話し合い、自主的に続けてもらうことを目指している」と説明する。

 本年度は兼次、崎山、謝名、運天の4区がモデル地区に。「お父さんたちを健康に」「みんなで大笑い」などの目標を掲げる4区が、自ら選んだメニューを実践する段階に移っている。

 9月7日夜、村保健センターに4区代表の19人が集まった。「バランスボールを使った体幹修正法」を講師の池原英樹さんから今後計4回、みっちり学ぶ。各区に持ち帰って住民に広めるのが役割だ。

 謝名区の重畠(しげはたけ)泰代さん(49)は「近くの公民館で教室を開いていれば、あまりやる気がない人も来やすい。みんなで継続的に健康づくりをしたい」と意欲を示した。

◆精神面の効用

 聖徳大(千葉県)の栗盛須雅子教授(公衆衛生学)は開始から10年間、プロジェクトを主導してきた。高齢者のアンケートで、自身を健康だと考える「主観的健康感」が5年後も低下していないことに着目する。「生存日数を規定するといわれるのが主観的健康感。健康づくりは身体面だけでなく、主観的にも長寿につながる」と精神面の大切さを指摘する。

 村予算が確保できない時は県外で寄付を募ったり、私費を使ったりしてプロジェクトを続けてきた。「住民がニコニコと自信を持って取り組んでいるのがうれしい。科学的根拠は羅針盤になる」。バランスボール講習会に参加していた兼次区の玉城清一さん(71)も「やる気さえ出せば元気になれることを実感している」と語った。

 村は来年度以降、全19区に実践を広げる予定。今帰仁の経験は、栗盛教授が今後関わる茨城県つくば市での大規模調査でも生かされるという。