Think Big(大きく考える)。スマートフォンのiPhone(アイフォーン)を生んだスティーブ・ジョブズ氏は、夢を追いかける心構えをこう語った。高い志が目標達成の原動力になると説く

▼かたや、約500億円の巨費を投じて大型MICE施設を造る県の目標はどうだろう。アジアのダイナミズムを取り入れ、県経済の起爆剤にするというスケールの大きな構想に、国が待ったをかけた

▼需要予測や収支見通しの「確かな根拠」を示すよう注文が付いているが、未来を見通すのは至難の業。不採算だと赤字が重くのしかかる「箱物」ならなおさらだ

▼小さすぎると利用者のニーズを満たせず、大きすぎると負の遺産になりかねない。近年は財政負担のリスクを避けるため、施設規模が過大になるより、小ぶりを選ぶ傾向にあるのか

▼考えてみると、2014年に開業した那覇空港国際線ターミナルは、予想以上の外国人観光客の急増に対応しきれず、早々に追加整備が決まった。寄港が好調なクルーズ船の接岸バース建設も後手に回っている印象を受ける

▼「大きく見て、小さく突き詰める。このバランスが大切」。将棋の羽生善治さんの言葉だ。大局観と細やかな分析で先を読む。勝負の世界に君臨するトップ棋士の極意は、私たちに「確かな指針」を示している。(西江昭吾)