日本銀行那覇支店は、7月の県内金融経済概況で、県内景気は「全体として拡大している」との判断を、引き続き示した。

 2013年8月から「拡大」の表現に上方修正して以降、48カ月も続いていることになる。現在の集計手法にした2000年以降、連続して「拡大」に言及したのは、県外からの投資が旺盛だった06年11月からの14カ月間があるが、今回のように48カ月も継続するのは異例といえる。

 沖縄総合事務局財務部も景気の基調判断を「拡大している」に引き上げ、1980年代後半からのバブル景気のころの判断よりも強めた。

 人口や観光客の増加、雇用者数や所得も増えており、消費関連は堅調に推移。けん引役の観光も、クルーズ船の寄港地として沖縄が通年で選ばれるようになり外国客が急増。国内客も引き続き好調だ。

 ホテルの客室数は供給不足で、宿泊単価も上昇している。「開発しない手はない」といわれるように、建設投資も相次いでいる。

 雇用情勢は、有効求人倍率も復帰後の最高水準を維持している。県外の場合、人手不足は少子高齢化に起因するが、沖縄の場合は仕事の増加に伴って人手が不足しているという側面が強い。完全失業率も3%台と低く、雇用環境は改善が著しい。

 実需を伴って経済が成長し、企業の投資もしっかり続く。雇用・所得環境も良くなり、好循環を形成している。経済界では、沖縄経済は「新たなステージに入った」との評価が定着しつつある。

■    ■

 さまざまな経済指標が上向きとなり、その期間も持続しているのにもかかわらず、景気拡大の実感が乏しいというのが多くの県民の率直な感覚であろう。

 好景気でも、企業間競争で苦戦を強いられたり、顧客ニーズを的確に捉えられず需要を取りこぼしたりしている企業もある。

 人手不足への対応もあり賃金は上昇しているとはいえ、期待するほど上がっていない。今年に入ってからの給与上昇率は1%未満で、給与はほぼ前年並みで推移。最低賃金の低さや、非正規労働者の割合も高く、そもそも給与が安いという実態もある。

 実感なき景気拡大から脱却するには、本腰を入れた賃上げや正規への登用や採用など、「人への投資」が、まず欠かせない。中小、零細企業が多い沖縄では容易ではないが、人への投資なくして、成長の持続はあり得ない。

■    ■

 有効求人倍率は1倍を超えたが、正社員に対する求人倍率は0・4倍台で、0・9倍台の全国との開きは大きい。完全失業率も、特に30歳未満の若年層で全国より高く、大卒の無業率も全国を上回る。県内でも指摘される人手不足だが、数値を見れば、県外に比べそれほど激しいとはいえない。新たな事業を興し、採用する余地もある。

 企業は賃上げや正規雇用への転換・拡大、人材育成も進め、行政は中小、零細企業への経営支援を強化する必要がある。底上げを実感できる取り組みを加速してほしい。