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  • 喉頭(こうとう)がんは減少、咽頭(いんとう)がんは増加傾向
  • 原因の9割は過度の飲酒・喫煙で、性行為などのウイルス感染も
  • 治癒率は80%と高い。喉の違和感が1カ月続いたら受診を

 音楽プロデューサーのつんくさん(46)が、4月に喉頭がんで声帯を摘出した。放射線治療などで一時は回復したが再発し、命の危険もあった。著名人らの発症で関心が高まっている咽頭がんや喉頭がんなど、喉に発症するがんは、9割以上がたばこやお酒が原因といわれる。治療法は放射線や抗がん剤があるが、重症化すると手術で声帯を摘出し声を失うことも多い。(学芸部・豊田善史)

「早期発見が完治につながる」と話す真栄田裕行医師=西原町の琉球大医学部

 那覇市に住む又吉賢弘さん(65)は昨年10月に咽頭がんが見つかり、11月に手術で声帯を摘出した。たばこを35年間、毎日1箱吸っていたが、10年前にやめていた。定年前は医療機関で臨床検査技師として働き、父や妹をがんで亡くしていたので定期的にがん検診を受けていた。しかし発見された時は声帯を摘出するレベルまで進行していた。

 妹は2年前、スキルス胃がんで亡くなった。心配になって昨年6月に胃がん検査のため消化器専門の病院で内視鏡検査を受けた。喉にも違和感があったため、一緒に検査してもらったが異常はなかった。その後、8月に風邪をひき、喉の調子が悪い状態が続いていたが、検査を受けていたため様子をみていた。

 ところが9月から食事が飲み込みにくいなどの症状が続き、10月には喉から出血。耳鼻咽喉科で受診したところ、がんと診断された。医者に「命を最優先してください」と言われ、声帯摘出手術を決断した。

 「内科だけでなく耳鼻咽喉科でも検査していれば早期発見できたかもしれなかった」と悔やむ。現在は同じ既往歴の有志が組織する「友声会」で、失った声を取り戻すため、食道発声法のトレーニングに励んでいる。

●1カ月で進行も

 喉は咽頭と喉頭の二つに分かれている。喉頭は、のど仏の部分で、声を出したり飲食物が食道を通る際に気管や肺に入ってしまわないよう調節する役割がある。咽頭は口腔こうくう内の内容物を食道に移動させる働きがあり、鼻の奥から食道までをいい、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれている。

 咽頭がんや喉頭がんは、喉に傷がつき、修復が追いつかずに壊れた細胞が増殖することによって発症する。たばこに含まれるタールやニコチン、酒に含まれるアルコールは喉の粘膜を傷つけやすい。

 琉球大大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部(けいぶ)外科学講座の講師、真栄田裕行医師(47)は、喉頭がんの場合、声がれなど初期症状が出現してから悪化するまで1年程度なのに対し、咽頭がんは1カ月でかなり進行すると指摘する。呼吸しにくいなどの初期症状が遅く、気付いた時にはかなり進行していることが多い。喉の違和感が1カ月続くと、疑わしいという。

●早めの受診を

 同研究科の調べによると、県内の発症率は喉頭がんはやや減少し、咽頭がんは増加傾向にあるという。全国も同じ傾向で、喫煙者の減少で喉に発症するがんは減っているが、咽頭がんに関しては性行為などで粘膜や傷からのウイルス感染者が増えていることや、検査機器の進歩で、初期の小さながんも発見できていることが挙げられる。

 真栄田医師は、県内では症状が悪化して初めて受診するケースが多いと話す。比較的、独り暮らしの男性に多く「周りから声がれの変化などを指摘されることも少ないので、受診が遅くなる原因のひとつになっているのではないか」と指摘、「原因の9割がたばこの吸い過ぎや過度の飲酒。喫煙者は注意が必要だ」と強調する。

 血たんや呼吸がしづらくなるなどの症状が出ると、進行している可能性が高いとし、「肺がんの治癒率30%に比べ、咽頭がんと喉頭がんは80%と高く、「早期発見が完治につながる。早めに受診してほしい」と呼びかけた。