辺野古に基地はできない。新基地建設は不可能だ。

 17日、沖縄セルラースタジアム那覇で開かれた辺野古新基地建設に反対する県民大会の熱気に接し、そう感じた。

 強烈な日差しが照りつけ、体中から汗が噴き出す蒸し風呂のような会場に約3万5千人(主催者発表)もの人々が集まったのは、「新基地ノー」「われわれは屈しない」「諦めない」という強い意志からである。

 沖縄だけに基地を押し付ける差別構造に対しわき起こる怒りと、沖縄のことは沖縄が決めるという当事者主権の叫びは、これまでの運動にはない質を帯びてきた。沖縄の反基地運動の歴史の中で、のちのちまで記憶される取り組みとなるだろう。

 今回の大会の性格を最も印象づけたのは、翁長雄志知事があいさつを締めくくった「うちなーんちゅ うしぇーてぃ ないびらんどー」という言葉である。丁寧な敬語の言い回しではあるが、「県民をばかにしてはいけない」という最大級の怒りがこめられている。

 先月、知事が直接会って「新基地反対」の圧倒的民意を伝えたにもかかわらず、直後の日米首脳会談で「辺野古移設を唯一の解決策とする立場は揺るぎない」と言い切った安倍晋三首相へ放った言葉だ。

 大会では「がってぃんならん(納得できない)」などの、うちなーぐちがぽんぽん飛び出した。

 心の奥底から発せられるそれらの言葉は、単なる怒りや憤りからではない。人間にとって最も大切な誇りや尊厳が傷つけられていることに、もうこれ以上我慢できないとの決意を示した言葉でもある。

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 「新しい何かが生まれている」。そう感じさせた県民大会の意義は、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する運動が、これまでとは異なる三位一体の構図で取り組まれていることにもある。

 キャンプ・シュワブ前や辺野古の海での体を張った抗議行動を、市町村に次々と誕生する島ぐるみ会議が支え、それを県と名護市が行政としてバックアップする。

 1カ月余りで2億円を突破した辺野古基金への送金は7割が本土からで、沖縄の運動を本土の人々が支える構図もつくられつつある。

 基金への関心の高さに、基金の共同代表を務める元外務省主任分析官の佐藤優さんは「われわれはすでに勝っている」と断言したが、決して大げさではない。最近実施された複数の全国紙の世論調査で、沖縄に共鳴する声が広がるなど変化が見えている。

 「正統性は沖縄にあり」「諦めなければ負けることはない」。17日付本紙に掲載された県外の著名人のメッセージにも勇気づけられた。沖縄だけの孤独な闘いではないのだ。

 三位一体の構図は、権力に押し切られたり、振興策になびいたりしない。あらゆる手段を駆使し立ち向かうという沖縄側の覚悟を政府は甘くみるべきではない。

 辺野古の海では沖縄防衛局の海底ボーリング調査が続き、中谷元・防衛相は「夏ごろにも着手したい」と埋め立て本体の工事に言及している。

 この期に及んで国が移設を強行しようとするのなら、嘉手納基地を含む米軍基地の一大撤去運動に発展するかもしれない。

 大会で翁長知事は「辺野古に新基地は造らせないとの公約実現に全力で取り組む」と重ねて表明した。

 住民の理解が得られない基地が同盟のアキレス腱(けん)となることを見極める必要がある。

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 仲井真弘多前知事の埋め立て承認を検証している第三者委員会は6月末に結論をまとめる。それを受け翁長知事は承認の「取り消し」あるいは「撤回」の方針を示すことになるだろう。

 大会で稲嶺進名護市長が「圧倒的多数で翁長知事を選んだ私たちには、知事を守る責任がある」と呼び掛けた。

 「取り消し」や「撤回」後は、国との裁判が予想され、困難な闘いが待っている。

 翁長知事は、国と対峙(たいじ)する覚悟を示した。知事を支える県民も腹をすえてこの問題に向き合う時が来ている。