乳がんについて考える「With you~OKINAWA 2015 あなたとブレストケアを考える会」が9日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた。日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科の勝俣範之医師が抗がん剤治療について講演したほか、治療法やケアごとに9つの分科会も開かれた。乳がん患者や家族、医療従事者ら約240人の参加者が乳がんについて学び、交流を深めた。

勝俣範之医師

乳がん患者の妻を支える夫たちが思いを語った分科会=宜野湾市・沖縄コンベンションセンター

勝俣範之医師 乳がん患者の妻を支える夫たちが思いを語った分科会=宜野湾市・沖縄コンベンションセンター

 勝俣医師は「抗がん剤治療の誤解を解く」と題して講演。抗がん剤には脱毛や吐き気、骨髄抑制などの副作用もある一方で、がん治療に効果的として、上手に使うことが大切と強調した。

 乳がんに対する抗がん剤「ハーセプチン」の効果を示したデータを紹介。手術後にハーセプチンを投与した患者は、非投与の患者より10年後の生存率が8・8%改善したと報告した。

 抗がん剤を使用せず放置療法をすすめる一部の主張に対して、「超早期のがんも進行がんになる可能性がある。進行がんも治療をしっかりやることで治るがんもある」と反論した。

 治療とともに早期の緩和ケアの導入が、QOL(生活の質)の向上につながると報告。がん患者への余命告知についても、患者の予後は幅広いため、断定的な告知はすべきでないと指摘した。「余命は正確には当たらない。予後に対してしっかりディスカッションすることが大事」と話した。

 がんと上手に付き合うためには、科学的根拠があり、現時点で最良とされ、一般的に患者に行われる「標準治療」をまず知ることが大切と強調。医療者や家族、患者会などを通し一緒に病気と闘う味方を見つけることが重要とした。「治療も大切だが、生活の質も大事。バランスをうまくとってほしい」と呼び掛けた。

■家族支援も重要 分科会

 講演後に開かれた九つの分科会では、それぞれ医療関係者と参加者がグループワークで意見を交わした。「パートナー(患者の夫)の会」の分科会では、妻が乳がんを患った夫5人が参加。With you関西代表世話人の田中完児医師がコーディネーターを務めた。

 30代の男性は、パートナーが25歳の時に乳がんを発症。治療は終えたが、再発の不安もあるという。「ネガティブになることもあるが、『今考えても解決しないことなら、考えないでおこう』と声を掛けている」と話した。

 70代の男性は妻の治療を振り返り「病気になったときのため、どの病院が何を専門にやっているのか、常日ごろから知ることが大切だと感じた」。また、告知の際に医師が十分に質問に答えてくれなかった経験から「医師は患者が分からないことに、きちんと説明してほしい」と望んだ。

 別の70代の男性は、1年半前に妻が手術を受けた。「妻の精神的な不安を和らげてあげたい。本人の望むことは全て聞いている」。映画を見に行くなど、妻がリラックスした状態でいられるようにサポートしていると説明した。

 田中医師は「病気は本人だけではなく、家族も同じぐらいつらい。家族のケアに目を向けることがとても大切」と意義を語った。