害虫ウリミバエの根絶事業で中心的な役割を果たした名古屋大学名誉教授で元沖縄大学教授の伊藤嘉昭(いとう・よしあき)さんが15日午前6時58分、肝不全のため名古屋市内の病院で死去した。85歳。葬儀は近親者のみで18日に行われた。1978年に第22回沖縄タイムス賞(産業賞)を受賞している。

伊藤嘉昭さん

 生態学が専門で、復帰直後の72年に農林水産省から県農業試験場に出向。画期的な「不妊虫放飼法」で、沖縄の農業に深刻な被害を与えていたウリミバエの根絶事業を指揮した。

 名大教授を定年退職後、93~98年まで沖縄大学教授。個体群生態学会会長、日本動物行動学会会長などを歴任した。2003年に第1回日本生態学会功労賞、07年に第17回南方熊楠賞を受賞している。

 やんばるの森が生物多様性に優れていることも著書や論文を通じて紹介し、自然保護を訴えた。

■沖縄農業救った

 伊藤さんの教え子の辻和希琉大農学部教授は「ウリミバエ根絶事業によって、危機に陥っていた沖縄の農業は救われた。日本の生態学や進化生態学、昆虫学のリーダーであり、沖縄が昆虫学の優れた研究拠点になったのも伊藤さんの功績が大きい」としのんだ。