読谷村波平のチビチリガマを荒らしたとして、器物損壊容疑で逮捕されたのは4人の少年だった。警察の調べに「心霊スポットに行って肝試しをした」と供述したという。早期解決を望んだ多くの県民の胸に、やるせなさが残る

▼遺族会長の與那覇徳雄さん(62)は「少年ということに大変ショックを受けている」と話した。「集団自決(強制集団死)」の犠牲者85人の遺骨が残る壕を、「肝試し」に使われた遺族の心境はいかばかりか

▼72年前、戦場にされた沖縄では皇民化教育で降伏を許されず、追い詰められた住民が肉親同士で殺し合う「集団自決」が起きた。チビチリガマはその象徴的な場所。4少年がそれを知っていたか、今のところ分からない

▼試しにインターネットで検索すると、戦跡を「心霊スポット」などとするサイトがあふれ出す。テレビでは、それに連なる番組がゴールデンタイムに流れている。いずれも大人が作ったものだ

▼歴史をねじ曲げたり、ちゃかしたりする情報が氾濫する今だからこそ、事実を語り継がなければと強く思う。平和教育の弱体化が指摘されるが、伝えることをやめてしまえば事実は葬られる

▼現場に居合わせた別の少年たちは「やるな」と犯行を制止したという。そこに希望がある。逮捕された4少年に届く言葉を、愚直に探していくしかない。(磯野直)

基地で働く―軍作業員の戦後
沖縄タイムス社
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