乳児の貧血は9~10カ月児で約25%と頻度が高く、多くは食事からの鉄が不足する鉄欠乏性貧血です。栄養不足が生じやすいのは「離乳食の開始時期は5~6カ月、アレルギーの心配の少ないつぶしがゆからはじめ、慣れてきたらすりつぶしたジャガイモ、野菜、果物も加え、さらに慣れたら豆腐や白身魚のタンパク質性食品も加える…」という指導に原因がありそうです。

 WHO(世界保健機関)が推奨する赤ちゃんの食事は大きく異なり、呼び方も離乳食ではなく補完食(ほかんしょく)といいます。成長して活動が増加する生後6カ月頃から、母乳だけではエネルギーや鉄などが不足するので、栄養を補うための食事という意味で補完食と呼ぶのです。

 WHOは、生後5カ月までは母乳だけを与え、6カ月からは不足する栄養を食事で補いながら、母乳は2歳まで続けるよう勧めています。「母乳で育っているこどもの家庭の食事」という副題がついたWHOの「補完食」の手引きのポイントを挙げます。

・母乳は最も自然な最初の食事で、生後6カ月間は母乳だけをあげるべきだ。

・母乳は生まれて最初の1年間は主となる食事で、2年目になっても重要。他の食物にはない独自の感染防御因子を赤ちゃんに与え続ける。

・成長し、より活発になるにつれて、母乳だけでは栄養必要量を満たせない月齢に達する。補完食は栄養の差を満たすために必要となる。

・良い補完食とは、エネルギー、タンパク質、微量栄養素(特に鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンA、ビタミンC、葉酸)に富み、衛生的で安全、食べやすい、入手しやすい、準備しやすいもの。

・主食だけでは栄養価が低く豆類、種実類、動物性食品、緑黄色野菜と果物、油、脂肪、砂糖を組み合わせることが必要-などです。

 食べやすいよう軟らかくし、最初からいろんな食材を組み合わせることがエネルギーと栄養素の観点から重要です。日本のように「徐々に」という指導では食材の広がりが遅れ栄養不足になります。

 また数年前に発表された「二重アレルゲン曝露(ばくろ)仮説」という新しい考えによると、早い時期から食べさせた方が食物アレルギーは発症しにくく、この視点からもWHOの手引きの方が理にかなっています。補完食ガイドラインの日本語版はWHOのホームページから無料で入手できます。「WHO 補完食ガイドライン」で検索してください。(南部徳洲会病院・今西 康次)