名護市辺野古の新基地建設に伴う海上保安庁の過剰警備批判に対し、佐藤雄二海上保安庁長官が20日の定例会見で「私が知る限り、現地の報道ぶりが非常に事実関係より誇張されている」と発言した。

 在京メディアに向かって沖縄の地元紙報道を批判することで、海保が実施する警備の正当性を主張したようだ。しかし、「誇張」とした具体的な内容は示さず、根拠もなく一方的に批判する会見はフェアではない。

 海保の地元紙“攻撃”は今に始まったわけではない。今年2月には、在京メディアを個別に集め、沖縄タイムスと琉球新報が報じた過剰警備の記事計5本を示し「誤報」と説明していたことが明らかになっている。

 「誤報」とされた記事について、これまで、本紙が海保から直接指摘を受けたことはない。なぜ「誤り」「誇張」だと言うなら直接、本紙にたださないのか。

 前回は半ば秘密裏に、今回は公の会見という違いはあるものの、海保の一方的見解を流すのは姑息(こそく)なやり方と言わざるを得えない。公的機関がとる対応なのか、憤りを通り越し、あきれるほどだ。

 沖縄タイムスは、政府が新基地建設に伴う海上作業に着手した昨年8月来、記者を日々現場に配置し、丁寧な取材を重ねている。

 記者が得た情報は、関係者に聞き取るほか、写真や動画を検証して確認できた事実を正確に記事にしており、海保が主張する「誤報」「誇張」は当たらないことを強調しておきたい。

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 海保長官が発言したその日、翁長雄志知事は就任後初めて東京で記者会見を開き、国内外のメディアに新基地建設反対の民意を訴えている。

 会見では、戦後の米軍基地建設に向けて県民の土地が強制的に接収された歴史をひもとき、現在に重ねて「海上での銃剣とブルドーザーでの基地建設の様相を呈してきた」と皮肉った。

 これが沖縄県民の目に映る海上作業の実態であり、基地建設に反対するカヌー隊員の不当な拘束、抗議船の転覆など行き過ぎた警備の実態だ。

 海上で抗議する市民を排除しやすいよう立ち入りを制限する臨時制限区域が、境界を示す浮標の位置があいまいで、警備する海保職員の解釈次第で境界が異なることも衝突につながる問題の一端だ。

 市民に対して「犯罪者」などと暴言を吐く海保職員もおり、佐藤長官は海上警備のトップとして、まず警備の詳細を把握すべきだ。

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 海保が地元紙批判を繰り返す背景には、辺野古の実態が拡散しないよう在京メディアに暗に圧力をかけているとの指摘がある。不都合な報道を広げないメディア戦略を当然視する意見もあるが、権力が国民に知られては困る事実こそ、国民に不利益を与えないよう報道側が姿勢を正し、何が真実か明らかにすべきだ。

 辺野古新基地反対は一連の選挙で示した民意である。真っさらな目で沖縄の現実を見つめ、報道するよう多くのメディアに期待したい。