何のために? と思った人は多いにちがいない。安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭にも衆院を解散し、総選挙を検討していることにだ。国民に問うべき肝心な争点がみえず、有権者が置き去りにされた感は否めない

▼森友・加計学園問題を巡り、野党が臨時国会召集を要求してから約3カ月。たなざらしにされたままの冒頭解散となれば「追及逃れ」「疑惑隠し」と批判されても仕方がない

▼なぜ今なのか。安倍首相の悲願ともいえる憲法改正論議を進めたい思惑はみえる。長期化が予想される北朝鮮への対応などを理由に、安倍首相にとって「都合がいい」時機なのだろう

▼民進党の離党騒ぎなど低迷する相手の「弱み」も突く。そこに解散の「大義」は見当たらない。まずは、本来の解散目的を明確にし、国民に知らせる必要があるはずだ

▼強行採決で安保法が成立した後、安倍政権は2015年末にも野党が憲法の規定に基づいて求めた臨時国会召集を見送った。追及をかわし、ご都合主義を押し通す姿勢は国会軽視、国民不在といえる

▼「仕事人内閣」の発足はほんの1カ月前。仕事の成果も出せぬままの解散には、しらけムードと政治不信しか残らない。民進党が解散前に求めている代表質問を自民党は拒む構えだという。国会の存在意義をも無視した暴挙があってはならない。(赤嶺由紀子)