台湾の行政院(内閣)に属し、経済政策を立案する国家発展委員会。8月29日、台北市のオフィスを訪問した日本の記者団を歓迎したコンメイキン副主任委員は、あいさつを済ませてこう切り出した。

就任演説で「新南向政策」の推進を表明した蔡英文新総統=2016年5月、台北の総統府前

 「日本と台湾が協力すれば、新記録も出せます」

 26日、台湾であったユニバーシアード夏季大会の陸上男子やり投げ決勝で、アジア新記録をたたき出し、金メダルを獲得した台湾選手のやりは、日本選手から譲り受けたものだったという。

 この話を引き合いにコン氏は「台湾の発展のために、日本との協力を進める」と強調した。

 近年、台湾の輸出額のうち中国向けは約4割を占め、最も多い。昨年5月に就任した蔡英文総統は中国に過度に依存する現状を打開しようと、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国とインドを中心とした南アジア諸国などとの経済貿易交流を深める「新南向政策」を打ち出した。

 政策を実行する上で、ASEANと経済連携協定(EPA)を結ぶ日本は強力な味方になる。共同開発した製品を日本から輸出すれば「メードインジャパン」の付加価値に加え、ASEAN諸国での関税優遇も得られる。

 その「協働」の拠点として、「台湾から最も近い日本」である沖縄が注目される。対日窓口機関となる台湾日本関係協会の謝延淙(シャエンソウ)副参事は「沖縄は台湾にとって前進基地。風土が似ており、経済特区もある。互いの企業が共に手を携えるには東京や大阪よりやりやすい」と魅力を語る。

 県内ではそのモデルとなりうるビジネスが芽吹く。台湾企業が出資して昨年3月に設立した日本菱山は、うるま市の国際物流拠点産業集積地域でブレーキやクラッチ関連の製品を組み立てる。日本メーカーからの受注を取り付け、富裕層の多い中東にも販路を広げている。

 また化粧品メーカーの太和生技グループ(台湾・高雄市)とポイントピュール(久米島町)はことし3月、合弁会社の設立を発表。うるま市の同地域に工場を建設し、来春にも国内外で新商品の販売を始める方針だ。

 マッチングを支援する県アジア経済戦略課の仲栄真均課長は「国内外の企業が連携するプラットフォームとしてこの地を活用してもらうことにより、アジア諸国との経済活動が活性化すれば、県経済のさらなる発展につながる」と期待した。(政経部・島袋晋作)