【連載「働く」を考える】第4部・インタビュー 県経営者協会長 安里昌利さん

 −県内の給与水準は全国の8割弱で、最低賃金も全国最低額が続いている。低賃金なのはなぜか。

「小さな企業もぜひアジア展開を視野に入れてほしい」と呼び掛けた県経営者協会の安里昌利会長

 「県内は中小、零細企業が圧倒的に多く、労働生産性が低い。市場規模が小さいことも背景にある。産業構造の問題も大きい。県内の製造業の割合は4・2%で全国18・4%に対して低く、第3次産業の割合は84・4%(全国73・9%)と高い。一般的に労働生産性は製造業が高く、サービス業は低い。近年、精密機械製造が進出して製造業が伸びる兆しが見えてきている」

 「非正規雇用者の割合が44・5%(全国38・2%)と高いのも全国との賃金格差の要因。その背景には企業の足腰の弱さがある」

 −沖縄タイムスが労働者対象に実施したアンケートには「好景気で売り上げは伸びているが給料は上がらない」という声が多く寄せられた。労働者に利益が十分に還元されているか。

 「賃金の問題は経営と切り離せない。経営者の使命はまず会社の存続。国際競争が激しくなる中で、経営者には将来に備え、内部留保などの自己資本を充実させないといけないという思いが働く」

 「経済成長の効果が従業員まで波及していないかもしれないが、失業率、有効求人倍率は改善しており、ゆっくりだが、いい方向に向かっている。それを加速させなければならない」

 −労働基準法違反で逮捕される経営者が出た。

 「県内は労働基準監督署の定期監督による違反率が84%で全国の71%を13ポイント上回っている。経営協では『県経営法曹会議』を設置しており、労働問題に詳しい弁護士から法改正などを学ぶ啓発のセミナーを開いている。その開催頻度を上げていきたい」

 −労働環境改善へ、県経営者協会として具体的に何をするか。

 「経済界として努力すべきは沖縄の経済基盤をしっかり確立することだ。今、アジア経済はダイナミックに発展している。地理的優位性がある沖縄がそのダイナミズムを取り込み、千載一遇のチャンスを生かして経済を成長させていくことがわれわれの一番の使命だ。企業経営の足腰が強くなれば、当然、従業員の処遇も改善されていく」

 「働きやすい職場環境をつくるためには、経営者層が果たすべき役割が大きい。がんばって働けば評価され、処遇が良くなるなら、社員のモチベーションは上がり、社業に貢献して、企業も成長する。子どもの貧困問題の解決にも関わる労働環境改善に向け、啓発活動に取り組む」(聞き手=学芸部・高崎園子)