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  • 「イコール・ペイ・デイ」という指標で男女の賃金格差が表せる
  • 女性が男性と同額賃金を得るには3カ月と10日多く働く必要がある
  • 「女性活躍法案」からは低賃金の非正規労働者への視点がない

 企業に女性登用に向けた数値目標の設定と公表を義務付ける女性活躍推進法案が、衆院本会議で審議入りした。「女性活躍」を冠にするにもかかわらず、女性たちのまなざしが冷ややかなのは、実効性に疑問符が付くからだ。

 安倍政権の目玉政策として、昨年の臨時国会に提出された法案である。衆院解散に伴い廃案となったため、2度目の審議入り。政府は今国会での早期成立を目指している。

 法案は、職場での女性登用の取り組みを進め、国や地方自治体のほか、従業員が300人を超える企業に義務付ける数値目標を柱とする。

 対象となる企業は、女性の採用比率や管理職に占める割合、男女の労働時間や勤続年数の差などの現状を分析した上で、改善に向けた数値目標を盛り込んだ「事業主行動計画」を策定しなければならない。

 「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という「2030(にいまる・さんまる)」が安倍政権のキャッチフレーズだが、一律の数値目標には経済界が二の足を踏み、見送られた経緯がある。

 義務化とはいっても、行動計画で取り上げる目標の中身や数値は企業の自主性に委ねられている。加えて300人以下の中小企業では努力義務にとどまる。

 目標数値は妥当か、計画の進捗(しんちょく)をどのようにチェックしていくのかなど、実効性を高める議論を国会で深めてもらいたい。

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 働く女性のNPO法人・日本BPW連合会が取り組む男女の賃金格差を表す指標に「イコール・ペイ・デイ」がある。女性が男性と同じ額の賃金を手にするには、何日余分に働く必要があるのかを算出するものだ。2015年のイコール・ペイ・デイは4月10日だった。前年の1月1日に男女が働き始め、男性が1年間で手にした賃金を、女性が得るには3カ月と10日も多く働かなければならない。

 法案からは、賃金格差の問題や、女性が多く占める低賃金で昇給もほとんどない非正規労働者への視点が見えてこない。

 22日の衆院本会議で質問に立った民主党の山尾志桜里氏は「賃金格差が是正されないまま女性活躍が進めば、低賃金で大活躍を強いられる構図が出来上がる」と懸念を表明した。

 女性活躍の法案といわれてもピンとこないのはそのためだ。

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 働く女性の約6割が第1子出産を機に仕事を辞めるのは「制度はあっても育休が取りにくい」など職場に残る差別的慣行が影響している。妊娠をきっかけに解雇されるマタニティー・ハラスメントも横行する。

 女性が職場で能力を十分に発揮するには、男性の家事や育児参加が欠かせない。そのためには長時間労働の解消など男性の働き方の見直しが迫られる。

 女性活躍を正面から取り上げた法案だ。女性登用を阻む壁にも正面から切り込むべきだ。