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  • 核軍縮や拡散防止を話し合うNPT会議は最終文書が採択されず閉幕
  • イスエラルを擁護する米英などが中東非核化構想に反対し決裂した
  • 日本が求めた世界の指導者の広島・長崎訪問も中国が反対した

 核軍縮や核拡散防止の課題を討議する5年に1度の国際会議は、交渉決裂という最悪の結果となった。

 国連本部で4月下旬から開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、会議の合意事項をまとめた最終文書案を採択できないまま、閉幕した。「核兵器のない世界」の実現は、国際政治の現実に阻まれ、かなたに遠のいてしまった。

 4週間にわたる会議で表面化したのは、核保有国と非核保有国の対立だった。

 非保有国は、核兵器の非人道性を強調し、核兵器禁止条約の制定を求めた。米英仏などの保有国は「段階的な核軍縮が最善」だとして禁止条約に反対し、核兵器の「非人道性」をめぐる記述にも難色を示した。

 NPTは米英仏中露の5カ国を核保有国として認める代わりに、保有国に対し、核軍縮に向けた誠実な交渉を義務づけている。

 前回、2010年の再検討会議は、核兵器削減に向け「具体的な進展を加速させる」との最終文書を採択した。しかし、ウクライナ危機の発生で核軍縮の機運は急速にしぼみ、停滞する交渉に非保有国から強い不満が上がっていた。

 今回の会議で成果が出せなかったことで非保有国の不満が高まり、NPT体制が弱体化すれば、非保有国の核保有衝動を刺激し、拡散の危険が高まるおそれがある。

 保有国の責任は重大だ。保有国が条約第6条の「核軍縮交渉継続の義務」を軽んじれば、NPT体制はもたない。

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 エジプトなどアラブ諸国の非核保有国は、事実上の核保有国であるイスラエル(NPT未加盟)に対抗するため、中東の非核化構想を打ち出した。

 最終文書案には「来年3月までに中東の非核化をめざす国際会議を開催する」との文言が盛り込まれていた。これにイスラエルを擁護するアメリカやイギリスなどが反対し、最終文書案は結局、採択されなかった。

 イスラエルの核政策とアメリカのイスラエル寄りの政策が中東非核化を妨げている構図が浮き彫りになったといえる。

 ロシアのプーチン大統領は3月、クリミア併合の際、核兵器使用の準備を検討したと発言し、世界のひんしゅくをかった。米ロ両国は世界の核弾頭の9割を保有しているといわれる。両国は人類への責任を自覚し、核軍縮をリードすべきだ。

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 日本は、世界の指導者の広島、長崎訪問を促す文言を最終文書に明記するよう求めた。被爆地を訪ね、被爆の実相を知るまたとない機会である。ところが、中国は歴史認識を持ち出してこれに反対した。「第2次大戦の被害者であるかのように歴史をゆがめる」というのだ。

 国際政治に歴史認識。激しく国益がぶつかり合う核軍縮交渉は一筋縄ではいかない。 救いは多くの国が核兵器禁止を支持する演説をしたことだ。日本は、この動きをさらに広げるため、被爆国として役割を果たすべきである。