ニキビ(正式には尋常性(じんじょうせい)ざ瘡(そう)といいます)は恋する女子学生のシンボル!といった一般向け販売医薬品のコマーシャルが頻繁に流れていたことを覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。

 それが長年われわれ医療従事者を含む世間に「ニキビは若い一時期だけのもの」「いずれは治る」「病気ではないから医者にかかるほどではない」という呪縛ともいえる刷り込みの要因になった可能性は否定できません。

 実際、ひと昔前まではニキビを主訴に病院を受診しても、処方できる薬剤の種類は限定的で、それで治らない方は自然に足が遠のいていきました。ホルモンバランスが落ち着き自然に治る方もいますが、治らないままニキビ難民となった患者は、より良い治療法があるかと各病院を転々とすることもあります。

 治ったからすべてが解決した訳ではなくクレーター状の痕が残ることもあります。また思春期を終えて成人になってからフェイスラインに出現するいわゆる“大人ニキビ”も働き盛りの方々の大きな悩みです。鏡を見るたび、人の視線を感じるたび重く胸にのしかかるニキビの悩み。それは本当に治ったといえるのでしょうか?

 そんな人々の声なき声を徐々にくみ取り、近年ニキビを取り巻く情勢は大きく変化しました。ひと昔前なら徹底的にゴシゴシ洗顔して徹底的に油分を除去する、化粧は絶対ダメといった患者側の負担を考慮しない指導が主でした。

 しかし今は「ノンコメドジェニック」化粧品なら化粧可能、洗顔は泡をたてて優しく1日2回で十分というように現実に即した指導法が一般的です。

 とりわけニキビに関して大きく変化したのは、この数年で保険適用の薬剤の種類が増えたことにあります。面皰(めんぽう)(毛穴に皮脂が詰まった状態)の改善作用と抗炎症作用を持つアダパレン、強い酸化作用と殺菌作用を持つ過酸化ベンゾイル、その他にも新規の抗菌剤や各種薬剤の合剤があります。

 また各種薬剤の有効性、使用方法、メークや基礎化粧品についての生活指導など、細かい点で日本皮膚科学会がガイドラインを作成していることも従来のニキビ治療と大きく異なります。

 国が保険適用の薬剤を認可し、学会が治療を後押ししていることは、ニキビが積極的に治療すべき疾患であることの何よりの表れです。

 さあニキビでお悩みの皆さん、勇気を振り絞って皮膚科を受診してみませんか?(嘉陽宗亨 嘉陽皮膚科)