9月22日は「沖縄シークヮーサー」の日。9年かかりで実を付ける在来の柑橘類のことを、沖縄では「九年母」(島言葉でクニブ)と呼んでいました。語呂合わせで9月22日が記念日となりました。
 昔から健康に良いとされてきたシークヮーサー。今夏、県産果実が「沖縄シークヮーサー」という名称で地域団体商標に登録されました。「沖縄」の地名を付すことで、海外の四季柑など、見た目が似ている果実を使った商品との差別化を図るのが目的です。これまで以上に生産地の結束やブランド力向上に期待が高まる中、「沖縄シークヮーサー」が持つ機能性成分の研究も進んでいます。登録を記念し、7月27日に名護市で開かれた講演会を基に、これまで明らかになっている「沖縄シークヮーサー」の機能性とブランド戦略について紹介します。 (企画・制作 沖縄タイムス社営業局)

■地域名を付ける強みとは?
 今回の「沖縄シークヮーサー」はJAおきなわ、県地域ブランド事業協同組合の共同登録です。登録記念講演会では、沖縄と北海道で食品検査を行う株式会社クロックワーク(本社那覇市)の伊志嶺哉(ちかし)代表を講師に招き、今後のブランド戦略が示されました。まず地域団体商標の成功事例として鹿児島県の「枕崎鰹節」を紹介。「伝統製法で高品質な商品でも、消費者まで良さが伝わらない現状がありましたが、地域名が付くことで、他と差別化できた成功例」とした上で、「沖縄シークヮーサーも生産者と地域の結びつき強化を図り、ブランド化のチャンスを生かしてほしい」と話しました。
 一方、ブームのリスクも指摘します。十数年前、健康情報番組でシークヮーサーが取り上げられると、消費量は一気に拡大。しかしブームが落ち着くと需要過多に陥りました。一時は供給量が追いつかず、その際安価な海外産柑橘を使った類似商品も出回りました。伊志嶺代表は「まずはメーカーが産地を守る意識が大事」と訴えました。

シークヮーサーの機能性とブランド戦略について語るクロックワークの伊志嶺哉代表=7月27日、名護市民会館
 

■来夏にも機能性表示食品に
 かつては全国一の長寿を誇っていた沖縄県ですが、2000年に男性が26位まで順位を下げ(26ショック)、さらに13年には首位を維持していた女性も3位に後退するなど、長寿県のイメージは過去のものとなっています。伊志嶺代表は「本土復帰を境に祖父母世代と40代以降の食生活が激変し、肥満が急増したことが要因」と解説し、「かつてのように伝統野菜や果物を食べる習慣を取り戻すことが急務」と提案しました。
 伝統的な果実である沖縄シークヮーサーの機能性成分「ノビレチン」や「タンゲレチン」には、①血糖値低下②脂肪燃焼③肝機能改善④抗炎症などの作用があることが、これまでの研究で分かっています。その上で「県民の肥満解決に沖縄シークヮーサーを活用すれば、全国的にもインパクトがある」と言います。
 現在、同社は沖縄県の事業を受託し、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」などと連携し、ヒト細胞を使った沖縄シークヮーサーの効能について研究しています。その検証結果を論文化し、沖縄シークヮーサーそのものを「核内受容体活性促進剤」として特許を出願中です。
 これらの結果をもとに、来夏には、沖縄シークヮーサーを使った商品パッケージに効能の表示が可能になるよう機能性表示食品の申請を行っています。実現すれば、シークヮーサーの機能性表示食品として全国初の事例になります。

 
 

■なぜ果実そのもので特許出願?
 沖縄シークヮーサーを機能性表示食品にするのは、さまざまなリスクへの対抗措置という意味も含まれています。今回の研究データ(論文)は、沖縄シークヮーサー以外の果実を使った商品に表示することはできません。
 伊志嶺代表は「例えば有効成分ノビレチンだけをブランド化すると、安価な海外産から成分のみを精製されるなど、大手の戦略に負けてしまう。沖縄シークヮーサーそのものを機能性表示食品にすることで、模造品の排除、産地の保護が図れる」とメリットを力説します。一方で「成分含有量の一定基準など、メーカーは品質管理の意識を一層強く持ってほしい」と訴えました。
 今後は産地、収穫時期ごとの成分含有量の研究も進める予定です。講演会の来場者からは「生産地として希望が持てる」と言った声が寄せられました。昔から沖縄では食事は全て「クスイナタン」(薬になる)という教えがあります。沖縄シークヮーサーは今後、機能性を表示できる沖縄ブランドの一つとして、新たな一歩を踏み出そうとしています。
 なお加工商品に沖縄シークヮーサーの商標を活用したい場合は申請が必要です。詳しくは、沖縄シークヮーサー地域団体商標管理委員会事務局、電話0980(58)4330(オキハム内)まで。

【知ってた?シークヮーサーの由来】もともとは洗浄剤だった!

琉球王朝時代には、自生していた「酸味のある小さな果実」から搾汁した液体を発酵させ、芭蕉布や麻着物を洗浄したり、果汁を塗布して消臭剤として用いていました。衣類に酸味(シー)を食わせて(クヮース)、使うもの(サー)という島言葉に由来し、「シークヮーサー」と呼ばれるようになったと言われています。