翁長雄志知事は、27日から6月5日までの日程で訪米する。ハワイやワシントンを訪れ、米軍普天間飛行場の早期返還と名護市辺野古の新基地建設反対などを米側に直接訴える。

 24日、東京の国会議事堂周辺で行われた辺野古の新基地建設に反対する抗議行動には約1万5千人が集まり、「人間の鎖」で国会を包囲した。辺野古移設反対をテーマにした国会包囲行動で、これほど多くの人が集まるのは、過去に例がない。沖縄の民意への共感が広がっていることを象徴する出来事だ。

 翁長知事は4月に安倍晋三首相、菅義偉官房長官と相次いで会談。5月には中谷元・防衛相との会談や東京での在京・海外メディアとの会見、さらに約3万5千人が参加した県民大会で、積もり積もった思いを発信してきた。

 特に、安倍首相らとの会談ではかなり踏み込んだ発言で、県民の思いを代弁した。沖縄の戦後史を踏まえ、過重な基地の負担や新基地建設の不当性を強く訴えた。普天間については「自ら土地を奪っておきながら、嫌なら代替案を出せというこんな理不尽なことはない」と厳しく批判した。

 翁長知事の毅然(きぜん)とした姿勢は、本土の人たちにインパクトを与え、沖縄への理解を促した。複数の全国メディアの世論調査では、辺野古移設に反対の意見が増えている。辺野古基金は短期間で2億5千万円を突破し、その約7割が本土からだ。沖縄の運動を支えようという機運が高まっている証しといえよう。

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 辺野古移設反対の世論の広がりは、訪米の追い風になるに違いない。ワシントンでは国務省や国防総省の次官補、次官補代理クラスとの会談を希望しているほか、シンクタンクなどとの意見交換を予定している。

 ただ、4月の日米首脳会談で、両政府が辺野古移設推進を確認した直後である。仲井真弘多前知事の埋め立て承認で、米政府や議会内で辺野古問題が「決着済み」との見方が広がっているともいわれ、厳しい対応も予想される。

 翁長知事は25日、共同通信の取材に対し、前知事による埋め立て承認に関し、県の第三者委員会から7月上旬に承認取り消しが提言されれば「取り消すことになる」と明言した。政府が移設を強行すれば「日米同盟に傷を付ける」とも語った。

 あらゆる手段を駆使し、新基地は造らせないという沖縄の覚悟を日米両政府は甘くみるべきではない。住民の敵意に囲まれた基地は機能しない、ということを米国は知っている。米政府は辺野古問題を真剣に考えるべきだ。

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 上野千鶴子さん(ウィメンズアクションネットワーク理事長)は、17日の県民大会に向けて本紙に次のようなメッセージを寄せた。「沖縄の運命が沖縄抜きに決められようとしている。当事者主権の叫びは当然だ」

 米軍基地の存在は、住民生活に大きな影響を及ぼす。「辺野古移設ノー」のまっとうな主張を、沖縄はさまざまな機会を通して、訴え続けていく。