地元嘉手納町や県の中止要請は、聞き入れられなかった。「伊江島補助飛行場で訓練を実施してほしい」との政府の申し入れも、軽くあしらわれた。

 防衛省は訓練が強行されたあと、米軍に遺憾の意を伝えるだけ。まるで米軍が日本の

法体系の上に君臨しているかのようだ。

 米軍は21日午前、嘉手納基地で、今年3回目のパラシュート降下訓練を実施した。特殊作戦に使われるMC130から2回に分け計16人が基地内に降り立った。

 この問題は決して小さい話ではない。沖縄の「複合過重負担」を象徴する事例の一つであり、見過ごすわけにはいかない。

 1996年12月、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告で、パラシュート降下訓練については「伊江島補助飛行場に移転する」ことが正式に合意された。

 この日米合意が出発点だ。ところが、米軍はその後も嘉手納基地での降下訓練を強行した。

 8月に実施された外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、日本側は米側に「地元の懸念」を伝えた。マティス国防長官は「きちんと問題に対処していく」と応じた。

 嘉手納町や県の中には事態が改善されるのではないかとの期待も生まれていたが、もろくも裏切られてしまった。

 米軍が強硬姿勢を崩さないのは、2007年1月の日米合同委員会で「例外的な場合に嘉手納を使用する」との例外規定を設けているからだ。

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 日米が一方的に、SACO合意の「抜け穴」をつくったのである。在日米空軍は21日の声明で「伊江島では63回訓練を行っているが、嘉手納を使用したのは今年に入ってわずか3回」だと強調した。合同委の合意を根拠に訓練の正当性を主張しているのだ。

 「例外」とはどのような状況をさすのか。

 小野寺五典防衛相は「現状では嘉手納で訓練する例外的な場合に当たらない」と説明するが、ならばなぜ、米軍は訓練を強行したのか。

 閣僚級会合の場で提起したことがいとも簡単に無視されたのである。相手が米軍であれ何であれ、言うべきことは言う、という毅然(きぜん)とした姿勢を示さなければ、負担軽減は実現できない。

 日米合同委員会という「密室」で交わされた日米取り決めの中には、この種の「抜け穴=例外規定」があまりにも多い。

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 地位協定による優遇措置と、合同委で合意した例外規定によって、米軍は基地の自由使用を実質的に担保し、そのことが県や地元自治体、住民に負担を強いているのである。

 嘉手納町議会(徳里直樹議長)は22日、降下訓練の禁止と「例外的措置」の撤廃を全会一致で可決した。

 日ごろ、騒音や訓練に悩まされている周辺住民は、北朝鮮情勢を巡って軍事衝突が起きた場合、北朝鮮のミサイルの標的になる、と懸念を深める。実効性のある負担軽減策が必要だ。